2004 Fiscal Year Annual Research Report
生物種間の相互作用の進化的変化が種多様性の創出・維特にはたす役割の理論的研究
Project/Area Number |
16570015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山内 淳 京都大学, 生態学研究センサー, 助教授 (40270904)
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Keywords | 1捕食者-2被食者系 / 対被食者防衛 / 最適摂餌戦略 / 進化 / 安定性 / 持続性 / モデル |
Research Abstract |
本年度の主要な取り組みは、「被食者の対捕食者防衛の進化と捕食者の最適摂餌戦略が1捕食者-2被食者系の安定性と持続性に与える影響の解析」であった。近年、生物の性質の進化的あるいは可塑的な変化が群集動態を安定化させ、その持続性を促進することが理論と実証の両面から示されつつある。本研究では、被食者と捕食者の双方の性質が相互作用を持ちながら変化することが系の性質にどのような変化をもたらすのかを、数理モデルによって理論的に明らかにすることを目指した。 1捕食者-2被食者からなる3種を含むロトカ・ボルテラ系の挙動は、一般にパラメータに大きく依存する。3種が安定的に共存する場合、一方の被食者が絶滅して捕食者と1被食者のみが安定的に共存する場合、捕食者が絶滅し2種の被食者が安定的に共存する場合などがある一方、平衡状態が不安定になって各種の個体数が永続的に変動し続ける解も存在する。本研究においては、まずこの系に2種の被食者における対捕食者防衛の進化を導入し、その挙動をシミュレーションによって調べた。それによると、防衛の進化を導入することで種の共存が大きく促進されると同時に、個体数の変動も抑えられる傾向があることが分かった。さらに被食者の防衛の進化に加えて、捕食者の最適メニュー選択を導入して系の挙動を調べた。その結果,最適メニュー選択によって捕食者の側には防衛をより高めている被食者を断続的に避けるという振る舞いが現れ、それにともない系の安定化がより促進されることが示された。ただしその効果は、被食者に対捕食者防衛の進化を導入した場合ほど顕著なものではなかった。また、被食者の防衛の進化速度が系の性質に与える影響を調べたところ,防衛の進化が素早いほど共存がより実現されやすいことも示された。
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Research Products
(2 results)