2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16570016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今福 道夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60135506)
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Keywords | 蝶 / ミドリシジミ / 翅色 / 色覚 / ムラサキシジミ / ヤマトシジミ |
Research Abstract |
本研究では、ミドリシジミの仲間を対象として(1)翅色の測定、(2)色覚の分析、および(3)行動の観察・実験から、蝶の翅の色彩の意味を解明することを目的としている。 (1)色彩については、これまで緑色系の12種について十分な分析を完了し、かなりの種でUV反射を確認した。一方他種については、個体数は少ないものの一通り分析を行い、とりわけ顕著なUV反射のないことを明らかにした。 (2)色覚については、これまで種間差や性差を一部で確認したが、これは複眼の一部を測定する従来の方法にもとづくもので、蝶類の色覚世界全体の解明には結びつかない。そこで、複眼全面を照射できる積分球を新たに導入し、時期の関係からミドリシジミ亜科のムラサキシジミで徹底した分析を行ったところ、この種では明確な性差があること、それは雄の高いUV感度もとづくことが分かった。ちなみに、この種の翅はUVを反射する。この手法でミドリシジミ族の広範な検討を計画している。 (3)行動については、これまで性的二型の緑色系の3種および性的一型の1種で一般的な生態を明らかにした。とりわけメスアカミドリシジミでは、この種の雄特有の回転飛翔を2次元画像から3次元運動に変換する手法を開発した。一方、色彩の意義に関しては、雄が他の雄の鮮度や雌雄の識別をするという結果は得ているが、雌の行動に関する実験は樹林性のこれらの種では非常に難しく、いくつかの試みはいずれも成功していない。そこで、草原性の性的二型の種ヤマトシジミでモデル実験を行い、処女雌が雄の翅に誘引されることを証明した。
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Research Products
(4 results)