2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16570019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
巌佐 庸 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70176535)
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Keywords | ホーミング現象 / 回遊 / 空間生態学 / 生活史戦略 / 密度依存性 / 最適殻サイズ / 森林ギャップ / サーカディアンリズム |
Research Abstract |
本年度は、動物で広く見られる繁殖におけるホーミング現象の進化について集中的に研究した。 魚類の回遊は有名で、河川で繁殖してできた子は川を下って海で成長する。その間異なる繁殖地からの個体が混ざり当っている。ところが繁殖するときには、自分達が育った川を選んで遡上し繁殖する。魚だけでなく、渡りを示す鳥の繁殖場の選択や、カエルの繁殖する池の選択でも同様に、個体ごとに、においなどで自らが生まれた場所を識別してそこへ戻って繁殖する。これをホーミングという。 簡単なモデルにおいて繁殖地間に子の生存率にわずかでも違いがあるとホーミング率は可能な限り高い値に進化することが示された。これがどこまで成り立つかは詳細な理論的検討が必要である。子の生存率が毎年変動しそれら繁殖地間で同調しない場合には、むしろホーミングをしないことが有利になる。また密度依存性や、繁殖地の良さを別の規準で判断できる場合などについても調べる。 魚類については、カラフトマスの回遊の研究をしてきた箱山洋博士(中央水産研究所)および大学院生の入江貴博の協力を経て、多数の種のホーミング行動と生態や生息地の特質との関連の比較生態的解析を行っている。 これらのほか、Harvard大学のグループとの共同研究として発ガン過程の数理モデルかを進めた。他方、殻をもつ軟体類の成長パターンを防御戦略として解析したり、森林のギャップ動態への空間構造の解析、サーカディアンリズム系での温度補償性についての理論解析などを論文として発表した。
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Research Products
(7 results)