2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の共同繁殖モデルシステムとしてのカワスズメ科魚類4種の繁殖戦術の解明
Project/Area Number |
16570022
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
幸田 正典 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70192052)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗原 弘幸 北海道大学, 北方圏フィールド科学センター, 助教授 (80212249)
|
Keywords | 共同繁殖 / 雌による雄の受精の操作 / 雌の巣選択 / 繁殖戦術 / 精子競争 / 雄間競争 / 父性判定 / 一妻多夫 |
Research Abstract |
昨年度は新たに購入した延べ200個体のジュリドクロミス(J)を材料に、協同的一妻多夫における雌の雄の受精の操作を中心に、仔魚の父性判定も含め、雌雄の繁殖戦術の解明を目指した。巣の特異な形態が優位雄・劣位雄の繁殖共存を可能にしていること、このことが本繁殖生態の重要な成立要因であるとの仮説が検証できた。特にカを入れたのは、産卵現場をビデオ撮影することにより、約1-2時間に産まれる個々の卵の産卵の実態と雌が実際にどのようにふるまうことにより、雄の受精の操作を行うのかについての詳細な検討である。共同繁殖魚の産卵現場のビデオ撮影は世界でも初めての試みである。その結果、雌は巣のより狭い奥側に入り込むことで、β雄にも受精させようとしていること、大型のα雄も雌よりも奥側に入り込むことで受精をほぼ独占しようとしていること、小型のβ雄はα雄からの攻撃を回避しつつ放精しようとしていることなどが、実態として明らかになってきた。これらの結果は、雌による受精の操作、雄間の受精をめぐる競争の存在を示唆している。現在もビデオ解析中であり、最終的な結果解析はまだ少し時間がかかる。 以上の実験とは別に、ジュリドクロミスの婚姻形態の多型について、昨年度は補足的に大型雌が二雄を確保することで、古典的一妻多夫が成立することを確認した。 魚類での協同的一妻多夫の進化を考える上で重要な、スニーカー雄やパイレーツ雄繁殖戦術のなわばり雄とのサイズ差の意味を調べるための飼育実験をビッタータスを用いて行った。その結果、派パイレーツに関してはなわばり雄の約1.2倍以上の大きさが有効であることが示された。これは野外での観察地と一致し、かつ共同繁殖魚でのαとβのサイズ比にも近い値であった。この結果は共同繁殖における雄のサイズ差が何らかの意味を持つことを示唆している。
|
Research Products
(6 results)