2005 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物細胞壁のペクチン性β-1,4-ガラクタンの生合成
Project/Area Number |
16570027
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
円谷 陽一 埼玉大学, 理学部, 教授 (10142233)
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Keywords | 細胞壁 / ペクチン / ガラクタン / ガラクトース転移酵素 / UDP-ガラクトース |
Research Abstract |
高等植物細胞壁を構成する主要な多糖の一つであるペクチンは双子葉植物の各器官に普遍的に分布し、細胞壁多糖のうち最も複雑な構造を有する。ペクチンは三種類に分類されるが、その一つであるラムノガラクツロナン-I(RG-I)にはガラクタン、アラビナンなどの側鎖が分枝結合している。これらの中性糖側鎖は、細胞壁のゲル構造特性、細胞間接着、細胞壁の間隙形成など多様な機能に寄与していると考えられている。本研究はRG-Iのガラクタン側鎖の合成に関わるガラクトース転移酵素(GalT)の酵素学的諸性質の解析、酵素タンパク質の精製、を行い目的遺伝子のクローニングを目標としている。昨年度は、ダイズ実生のミクロソーム画分を用いてβ-1,4-ガラクタンの合成に関わるβ-1,4-ガラクトース転移酵素(GalT)の活性測定法を確立し、酵素の諸性質を明らかにした。 1.酵素の可溶化と精製:昨年度の実績に基づき、ダイズ実生のミクロソーム画分から界面活性剤(Triton X-100)を用いてGalTを可溶化した。数段階のクロマトグラフィーで酵素を精製したが酵素タンパク質を特定するには至っていない。アフィニティークロマトグラフィーを用いた酵素精製を進めている。 2.β-1,4-ガラクタンの鎖長伸長反応:上記の部分精製酵素酵素を用いて、UDP-Galを供与体、2-アミノベズアミドで蛍光標識したβ-1,4-ガラクトヘプタオース(β-1,4-Gal_7-AB)を受容体として酵素反応を行い、反応産物をHPLCで解析した。反応時間とともにβ-1,4-ガラクトオリゴ糖の鎖長が伸長し、重合度35(β-1,4-Gal_<35>-AB)までの多糖が生じた。鎖長伸長はMALDI-TOF/MSによっても確かめた。ダイズのβ-1,4-ガラクタンの鎖長は重合度45程であり、試験管内酵素反応で天然糖鎖に匹敵する多糖を合成することができた。
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Research Products
(4 results)