2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるプリンおよびピリジンアルカロイドの分布、生合成、機能についての研究
Project/Area Number |
16570031
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
芦原 坦 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (00017211)
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Keywords | カフェイン / トリゴネリン / 生合成 / 代謝 / 遺伝子発現 / プリン / ピリジン / コーヒー |
Research Abstract |
ある種の植物では、ヌクレオチドに由来する二次代謝産物であるカフェイン(1,3,7N-メチルキサンチン)とトリゴネリン(1N-メチルニコチン酸)が生産される。カフェインについては、チャやコーヒー植物中で、プリンヌクレオチドから、キサントシン、7-メチルキサントシン、7-メチルキサンチン、テオブロミンを経由してつくられることが明らかにされている。一方、トリゴネリンについては、マメ科植物で発見されてから、かなりの植物で見つかり、植物のさまざまな生理現象との関連が推測されているが、その代謝レベルについての研究は、ほとんどなされていなかった。この研究では、カフェインとトリゴネリンを蓄積する植物を実験材料として、両アルカロイドの植物体での分布(器官および細胞内)、転流、生合成、蓄積、分解について詳細に比較検討した。カフェイン生合成に関して、コーヒー果実の成熟時の含量の変化、鍵酵素であるN-メチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現、^<14>Cで標識されたカフェインの前駆体の代謝から、若い時期の果実の種子においてメチルキサンチンシンターゼ、カフェインシンターゼ遺伝子の強い発現がみられ生合成能が高いことから、種子に蓄積される多量のカフェインは、種子内での遺伝子の発現、生合成によるが示唆された。一方、トリゴネリンの合成能は、果実の果皮の部分で高く、果皮で合成されたものが種子に輸送されるものと思われた。トリゴネリンの生合成に関しては、コーヒーのほか、より扱いやすい実験材料であるマメ科植物であるヤエナリやミヤコグサでも研究を進めた結果、NADの分解で生じるニコチンアミドやニコチン酸からつくられ、ピリジンヌクレオチドサイクルの活性に連動することが示された。
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Research Products
(5 results)