2005 Fiscal Year Annual Research Report
多局在性植物細胞骨格結合タンパク質のアイソタイプの成因と分化・成長における役割
Project/Area Number |
16570034
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
阿部 俊之助 愛媛大学, 農学部, 助教授 (40167937)
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Keywords | Apyrase / 4SNc-Tudor / 局在 / 免疫組織化学 / 発芽 / マメ類 / 誘導酵素 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
平成17年度においては、エンドウの細胞骨格画分中に多量に存在するタンパク質のうちヘパリンに対する親和性の高い特徴的なタンパク質であり細胞骨格と核の両方に存在するアピラーゼと4SNc-Tudorの局在と組織レベルでの発現時期の解明を試みた。 12時間吸水し播種後、種々の発芽段階において組織薄片を大型滑走式ミクロトームを用いて作製し、切片を免疫組織化学的に染色し、4SNc-Tudor domainタンパク質とアピラーゼ酵素タンパク質の発芽初期過程における局在を調べた。その結果、アピラーゼについては10時間までは特に目立つ発現はなかったが、16時間では、全体的にまばらに発現がみられた。35時間では根・根端・胚軸で皮層(Cortex)の外側に特異的に強い局在がみられた。また62時間では根と胚軸の皮層の外側と細胞壁、幼芽の托葉に特異的に強い局在がみられた。胚軸と幼葉の結合部分にあたる屈曲部においては、外周部の皮層に強い発現がみられた。これらの結果はRT-PCRにより得られた発現誘導時期と組織分布およびWesternによる強度の分布とほぼ一致する結果であった。特に根が形成される35時間から皮層の外側に検出されるようになり、組織の分化にともなった生理学的に重要な機能を持っている可能性が考えられた。また、胚軸と幼葉の間の屈曲部の外側に位置する皮層に強い発現が見られたことから、重力や光などの胚軸の屈性と関連した機能があるとも推察される。 放射性P32でラベルしたリン酸をエンドウ芽生えに与え、In vivoでの直接リン酸化によるアピラーゼおよび4SNc-Tudorタンパク質のリン酸化の検出を試みたが、両タンパク質とも該当に位置に放射性バンドを検出できなかった。したがって、前年度のIn vivoでの結果と合わせて、ラベルを用いた実験ではリン酸化の検出はできないと結論された。そのため、現時点においては、断片化したアピラーゼや4SNc-Tudorを質量分析を用いて解析しリン酸化を含めた分子就職の解明を進めるため、大量精製を行っているところである。 分裂酵母をモデルとして用いた免疫沈降により、4SNc-Tudor domainタンパク質(SN4TDR)の会合相手の検索をおこない、また、形質転換体や遺伝子破壊体の性質および局在などを前年度に引き続き検討した。その結果、SN4TDRは明確な細胞質局在であり、また遺伝子破壊体は増殖が早くまた定常状態での細胞数が野生株に比して1.5倍程度多かった。遺伝子レスキュー株では、定常状態での細胞数は野生型になったが、増殖速度は中間となり明確な回復を示さなかった。これらのことから、SN4TDRは核排除シグナルをもち細胞質において細胞の増殖に補助的な役割を持つものと推察された。
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Research Products
(2 results)