2006 Fiscal Year Annual Research Report
多局在性植物細胞骨格結合タンパク質のアイソタイプの成因と分化・成長における役割
Project/Area Number |
16570034
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
阿部 俊之助 愛媛大学, 農学部, 教授 (40167937)
|
Keywords | Apyrase / Tudor / 分化 / 側根形成 / 局在 / 免疫組織化学 / 翻訳 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
本研究では、私が開発したエンドウ細胞骨格分画法において得られたヘパリンに親和性の高い主要タンパク質である49kDa Apyraseと110kDa Tudorドメインタンパク質(SN4TDR)の種子発芽過程における発現と局在ならびにリン酸化の解明である。 吸水期間ならびに発芽開始したエンドウ種子の各段階から抽出したトータルRNAを用いてRT-PCRを行い、Apyrase (Apy1)とSN4TDRの遺伝子発現の種子発芽中の組織局在の時間経過を調べた。その結果、Apy1は、吸水中から発芽開始後10時間までの間は、発現がなく、16時間では、全体的にまばらに発現がみられた。35時間では根・根端・胚軸で皮層(Cortex)の外側に特異的に強い発現がみられた。また62時間では根と胚軸の皮層の外側と細胞壁、幼芽の托葉に強い局在がみられた。胚軸と幼葉の結合部分にあたる屈曲部においては、外周部の皮層に強い発現がみられた。特に根が形成される35時間から皮層の外側に検出されるようになり、次いで、側根が形成される場所の維管束に生じる原基の形成と伸長に伴い強い発現が観察された。いったん分化した組織が再分化をする場合に重要な機能を担っている可能性が考えられた。また、胚軸と幼葉の間の屈曲部の外側に位置する皮層に強い発現が見られたことから、重力や光などの胚軸の屈性と関連した機能があるとも推察される。抗リン酸化抗体法でApy1がリン酸化されていることがわかった。 HSN4TDRの機能を分裂酵母モデルで調べ、Tubulinに関係する因子(Moe1)とリボソームタンパク質(Rpl22)との会合の可能性を示唆した。また、吸水前の乾燥種子胚や子葉など調べたすべての器官からSN4TDRは同程度検出され、吸水後も緩やかに増加した。この発現パターンは構造タンパク質であるActinやTublinの発現と類似の傾向を示し、特にTubulinに類似であった。Apy1は典型的な発芽後誘導を示す遺伝子である一方で、SN4TDRはTubulinやActinのような構造的役割をもつ遺伝子であることがタンパク質ならびに組織局在で推定された。これらの成果は、現在主要な論文4報に取りまとめ中である。
|
Research Products
(1 results)