2004 Fiscal Year Annual Research Report
チラコイド膜機能発現における二種の酸性脂質の役割-その特異性と相同性の解明
Project/Area Number |
16570036
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
佐藤 典裕 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (50266897)
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Keywords | 酸性脂質 / 葉緑体 / クラミドモナス / 緑藻 / シアノバクテリア / チラコイド膜 / 光化学系 / 栄養源 |
Research Abstract |
リン脂質ホスファチジルグリセロール(PG)と硫黄脂質スルフォキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)は光合成膜チラコイドに存在する酸性脂質である。これまでPGはシアノバクテリアsynechocystis sp.PCC6803において光化学系(PS)I複合体のtrimer構造の安定化に必要であることが示されていた。本年度はまずそのPGの役割の保存性を吟味するため、別種のシアノバクテリアSynechococcus sp.PCC7942とThermosynechococcus elongatus BP-1から各々単離したチラコイド膜を用い、ホスホリパーゼ処理によるin vitroでのPG分解がPSIの高次構造へ及ぼす影響を調べた。その結果、PGの分解がPSI trimerを解離させmonomer化させること、つまりこれらシアノバクテリア間でPGの役割が保存されていることが見い出された。一方、SQDGはPSII複合体に結合し、その構造・機能の維持に関ることが報告されてきた。本年度はSQDGの役割をより広く探るため、緑藻クラミドモナスを硫黄欠乏条件に曝し、その後の硫黄代謝の変動を調べた。その結果、SQDGが急激に分解され、脂質とは異なる化合物へと変換されること、さらにこのSQDGの分解活性の誘導には葉緑体ゲノムではなく、核ゲノムにコードされたタンパク質の合成が必要であることを観察した。一方、SQDGの誘導体で極性基がacyl化されたASQは分解をほとんど受けなかった。以上の結果は、硫黄欠乏条件下ではSQDGが硫黄源としての役割を持ち、そのために核コードタンパク質依存性のSQDG分解活性が誘導されること、そしてASQは同条件下で細胞が生き抜く上で重要な役割を担っていることを示唆している。
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Research Products
(3 results)