2005 Fiscal Year Annual Research Report
アンチオーキシン耐性遺伝子の同定によるオーキシンシグナリング機構の解明
Project/Area Number |
16570042
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大野 豊 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (30343940)
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Keywords | シロイヌナズナ / オーキシン / アンチオーキシン / PCIB / 2,4-D / aar1 / イオンビーム |
Research Abstract |
シロイヌナズナアンチオーキシン耐性変異体(aar1)は、PCIB(p-chlorophenoxyisobutyric acid)を用い、根の生長を指標としたスクリーニングにより取得され、2,4-Dに対して感受性が低下しているがIAAに対しては野生型と同様の感受性を示す変異体である。前年度の研究からaar1-1およびaar1-2ゲノムでは、第4染色体のT6G15領域約45kbおよび27KbのゲノムDNA領域の約9個および4個の遺伝子がそれぞれ欠失していることが明らかにされた。本年度は、欠失領域のDNA断片をaar1-1変異体に導入する相補試験をおこない、At4g13520遺伝子を含む断片を挿入した時に、aar1変異が相補されることを見出した。つぎにAt4g13520を単独で不活化した場合にaar1変異体でみられたような2,4-DやPCIBに対する感受性の変化がみられるかどうかを、RNAiによる実験で確認することを試み、At4g13520の発現量を低下させた形質転換体で2,4-DやPCIB耐性が獲得されることを確認した。 At4g13520遺伝子は62アミノ酸からなる計算上のpIが3.3と非常に酸性度の高いタンパク質(small acidic protein 1 ; SMAP1)を暗号化しており、類似遺伝子が植物のみならず動物でも存在していることがデーターベースの検索で明らかになったがその生物学的機能が明らかにされている遺伝子はなかった。アミノ酸配列のC末側には高度に保存されたフェニルアラニンとアスパラギン酸がリッチな領域があり、このドメインがSMAPのファンクションに重要である可能性が考えられた。以上の結果により、シロイヌナズナ根における2,4-Dの作用の一部は、SMAP1を介した経路で引き起こされることが示唆された。
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