2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミドリゾウリムシにおける排他的細胞内共生システムの成立機構
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16570053
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
洲崎 敏伸 神戸大学, 理学部, 助教授 (00187692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 正樹 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (80291053)
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Keywords | 原生動物 / ゾウリムシ / 共生 / クロレラ / ミドリゾウリムシ |
Research Abstract |
1.ミドリゾウリムシの無菌培養系の改良 ミドリゾウリムシの無菌的な大量培養法を開発した。この方法により、多量の細胞を得ることができるようになり、生化学的解析には十分な材料を確保することができるようになった。しかし、この培養法は餌としての単細胞性緑藻Chlorogonium elongatumとの共培養であるために、どうしても餌細胞がミドリゾウリムシに混入する。これは、分子生物学的研究を展開する上では不利であるので、培養系をさらに改良し、餌を必要としない完全合成培地での無菌培養法を開発した。この研究は、Jpn.J.Protozool.に発表した。 2.PV膜の単離 無菌培養で得たミドリゾウリムシからのPV膜を効率的に単離する方法を確立した。また、磁性ビーズを用いて、食胞を単離する方法を検討中である。これらを用いて、二次元電気泳動などによる膜タンパクの解析を行っている。 3.感染性微生物を保持するミドリゾウリムシに対する基本的な光学・電子顕微鏡観察 海外協力者のGoertz博士の過去の研究によると、ミドリゾウリムシに感染する種々の微生物には、その感染力に強弱があるという。例えば、イーストが感染しているミドリゾウリムシにクロレラを与えると、イーストは消失してクロレラが共生を確立させる。しかし、クロレラが感染している細胞にイーストを与えても、イーストが感染することはない。このような感染力の強弱は、クロレラ>イースト>セネデスムス>バクテリアという順序であるというが、このような序列を規定している仕組みは不明である。今年度には、まず基本的な観察を進め、クロレラがトリコシストを排除する機構との類似性を検討した。また、Gertz博士の研究室を訪問し、共同研究に関する議論と予備的実験を行った。
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