2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規成長ホルモン(sGH)-αMSH調節系の生理学的意義と分子機構に関する研究
Project/Area Number |
16570054
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹内 栄 岡山大学, 理学部, 助教授 (20226989)
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Keywords | ニワトリ / α-MSH / POMC / 成長ホルモン / Pit-1 / 下垂体外発現 / 転写調節 |
Research Abstract |
本研究では、発生過程の眼球に発現する新規成長ホルモン(sGH)とα-MSHがどの様な調節を受けるのか、及び、これら調節系の生理学的意義を明らかにすることを目的とした。本研究の採択後、眼球に於いてはsGHではなく下垂体型GHがつくられること、及びその発現が下垂体特異的転写因子Pit-1による制御を受ける可能性が報告された。そこで、本研究では予定していた解析の順序を変更し、まず、眼球におけるGH遺伝子発現とPit-1について、その発現の関連性について検討した。また、α-MSHの前駆体であるPOMCについても、そのプロモーター構造が明らかではなかったので、5'RACE解析を行った。その結果、以下の事実が判明した。 1.GHの発現とPit-1との関連について (1)艀卵胚期の神経網膜では、sGHおよび下垂体型GHが発現する。 (2)眼球で発現するPit-1は、下垂体でGHの発現を引き起こすアイソフォームPit-1αではなく、Pit-1γである。 (3)Pit-1γには報告されていた構造のものに加え、第4エクソン部分を欠失したアイソフォームが存在する。 (4)Pit-1の発現は発生に伴ったパターンを示すが、下垂体型GHの発現パターンとは全く符合せず、TSHの発現と相関関係がみとめられる。 2.POMCの構造について (1)下垂体外で発現するPOMCの多くは下垂体と同じ転写開始点から転写されており、プロモーターを共有しているが、羽や眼球、視床下部など、一部の組織・器宮では、下垂体で働くプロモーターよりもおよそ15kb上流にあるプロモーターの働きにより、転写調節が行われている。 本解析により、Pit-1発現と下垂体外下垂体ホルモン発現の関係が明らかになる可能性がでてきた。また、POMC遺伝子に複数のプロモーターが存在することが示されたのは、すべての脊椎動物を通じて初めての業績である。今後の発展が期待される。
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