2005 Fiscal Year Annual Research Report
有殻渦鞭毛藻類の分類形質となっている鎧板のパターンを決定する細胞構造と制御機構
Project/Area Number |
16570056
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
奥田 一雄 高知大学, 大学院・黒潮圏海洋科学研究科, 教授 (40152417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関田 諭子 高知大学, 大学院・黒潮圏海洋科学研究科, 助手 (70314979)
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Keywords | 細胞 / 植物 / 渦鞭毛藻 / 細胞外被 / 分類形質 |
Research Abstract |
渦鞭毛藻の細胞外被は,原形質膜,アンフィエスマ小胞(AV),微小管からなる。AVは原形質膜を裏打ちして細胞周縁全体を取り囲む構造で,有殻渦鞭毛藻はこのAVの内部に鎧板を形成する。この鎧板の形や数,配列パターンが分類形質となる。鎧板の配列パターンは,不動細胞におけるAV形成時に決定されることが明らかにされている。しかし、その配列パターンがどのようなしくみで制御されているのかは,明らかにされていない。本研究では,AVの配列パターンを決定する調節機構を明らかにするために,高圧処理法を用い,有殻渦鞭毛藻Scrippsiella hexapraecingulaの表層微小管と鎧板配列パターンの関係を調べた。 不動細胞をある圧力条件で処理し,表層微小管を破壊した。圧力処理された不動細胞は,3日以内に新しい遊走細胞を形成・放出した。新しい遊走細胞の表層微小管は再生されたが,その配列は,正常なものと乱れた配列を示すものが存在した。表層微小管に影響を及ぼさない圧力条件では,新たに形成される遊走細胞の鎧板配列パターンは変化しなかった。しかし,表層微小管が破壊される圧力条件で処理された不動細胞は,新たに形成される遊走細胞の鎧板配列パターンが顕著に変異した。その変異パターンは鎧板の融合,分割,挿入などが多様に組み合わさったものであった。このことは,表層微小管がAV形成時における配列パターンの調節に関与することを示唆する。
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