2005 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の後胚発生期における飛翔筋の周期的活動の発生機構とその機能的意義
Project/Area Number |
16570065
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
市川 敏夫 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (50136420)
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Keywords | カイコガ / 神経分泌細胞 / ペプチドホルモン / 飛翔筋 / 筋発達 / ウルトラディンリズム / 共局在 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
カイコガ蛹の食道下神経節にあるPBAN類分泌細胞は数十分周期で発火活動をしているが、発火リズムと発達中の飛翔筋の電気的活動リズムは同調している。この神経内分泌系と飛翔筋の周期的活動の同調の機能的意義を探るために、(1)他の昆虫蛹での飛翔筋の発火活動の解析、(2)神経分泌細胞の発火リズムと同調する他の筋組織の探索、(3)神経分泌細胞にはPBAN類以外にどんなペプチドホルモンが共局在するかについて調べた。完全変態昆虫類の蛾類、ハエ類、ハチ類、甲虫類の発達中の飛翔筋では常に周期的な電気的活動が観察されたが、不完全変態昆虫のバッタでは観察されなかった。このように発達中の飛翔筋の周期的活動は完全変態昆虫に共通であり、飛翔神経-筋システム形成に重要な働きをしていると考えられる。ゴミムシダマシのPBAN類分泌細胞の周期的発火は飛翔筋に加え、腹部の呼吸(屈曲)運動や内臓筋の運動リズムと同調していた。カイコガのPBAN類分泌細胞にはFMRFamideとbombyx myosuppressin(BMS)が共局在し、ゴミムシダマシのそれにはFMRFamideとpigment dispersing factor(PDF)が共局在していることが免疫細胞化学的に示された。PBAN類分泌細胞には一般的に骨格筋や内臓筋に作用するといわれているFMRFamideが共局在すること、および発火活動リズムが腹部の呼吸運動や内臓筋の運動リズムと同調していることから、神経分泌細胞から分泌されるホルモンは直接飛翔筋に作用するのではなく、腹部筋などいろいろな筋組織に作用してその働きを増強し、蛹期間に急速に進む飛翔筋やその他の成虫組織の形態形成に必要な体全体の生理、循環、代謝系をサポートしていると考えられる。
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Research Products
(4 results)