2005 Fiscal Year Annual Research Report
コオロギ尾葉感覚系における気流情報抽出メカニズムの解析
Project/Area Number |
16570068
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
小川 宏人 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70301463)
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Keywords | 昆虫 / 神経細胞 / 樹状突起 / シナプス統合 / ポピュレーションコーディング / 感覚情報処理 / カルシウムイメージング / 電位依存性カルシウムチャネル |
Research Abstract |
本研究は,数百本の感覚毛の感覚ニューロンから興奮性入力を受ける巨大介在ニューロン(Giant Interneuron : GI)が,多数のシナプス入力から刺激方向に関する気流情報を抽出するメカニズムを明らかにすることを目的とする。昨年度までに,機械感覚ニューロンの求心性神経終末の活動のイメージングを行い,気流方向情報が神経終末群の活動の空間パターンで表現されることが明らかになった。そこで本年度は,求心性神経終末とGIの同時イメージングを行い,シナプス前後のニューロンの活動を直接可視化することによって,GIの樹状突起の局所的活動の応答特性がその部位にシナプスしている求心性神経の応答特性を反映しているかどうかを調べた。その結果,GI 10-3の各樹状突起分枝におけるCa^<2+>応答の方向感受性を示すチューニングカーブは,その分枝に重なる領域の求心性神経終末のCa^<2+>応答のカーブに近い応答特性を示した。それに対して,GI 10-2の樹状突起部のCa^<2+>応答は,その領域に重なる求心性神経終末の応答とは異なる方向感受性を示した。一方,昨年度明らかにした,求心性神経終末群の活動の空間パターンと10-2,10-3の各樹状突起の空間配置を比較したところ,各方向からの気流刺激で賦活される求心性神経終末活動の空間パターンと10-2の樹状突起の重なり度合いを示したカーブは,その樹状突起のCa^<2+>応答のチューニングカーブと一致した。しかし,10-3の樹状突起と求心性神経の活動パターンとの重なり度合いカーブは,10-3のCa^<2+>応答のチューニングカーブとは相関がみられなかった。以上の結果は,10-3が各樹状突起分枝に局所的に入力する求心性神経の方向感受特性を抽出しているのに対し,10-2では樹上突起全体で神経節内全域の活動パターンとして表現されている情報を抽出していると考えられる。
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Research Products
(4 results)