2004 Fiscal Year Annual Research Report
中国山地のザトウムシ類に協調的に起こる外部形態分化・核型分化と分子系統地理学
Project/Area Number |
16570076
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
鶴崎 展巨 国立大学法人鳥取大学, 地域学部, 教授 (00183872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 宗裕 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 助教授 (70177096)
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Keywords | 種分化 / 生物地理学 / 核型分化 / 中国地方 / ザトウムシ目 / 隠岐諸島 / 地理的変異 / 染色体 |
Research Abstract |
中国山地では,ヒコナミザトウムシ(以下ヒコナミ)Nelima nigricoxa(2n=16/18/20),アカサビザトウムシGagrellula ferruginea(2n=12〜24),イラカザトウムシ(以下イラカ)Gagrellopsis nodulifera(2=16〜24),サトウナミザトウムシNelima satoi(2n=16〜20)など多くのザトウムシ類で染色体数の著しい地理的分化が生じている(鶴崎 2003)。これらの核型分化の過程の解明には,それらの種の隠岐諸島の集団の核型の情報が手がかりとなりうる。そこで,本年は隠岐諸島や島根半島を主調査地としてザトウムシの染色体調査・核型分析をおこなった。 島後のイラカは対岸の島根半島(枕木山)や大山と同様2n=16であることを確認できた。ただし,核型には,島後,島根半島・大山の3集団間で若干の差がみられた。 ヒコナミの島根半島(松江市)の集団の染色体数は2n=20で大山と岡山県旭川を結ぶライン以西の中国地方の集団のそれと同じであったが,島後から採集された集団の染色体数は2n=22であることがわかった。この数は,対岸の本土側の集団(2n=16/18/20)のいずれとも異なり,本種の関東地方の集団や近縁種(エゾナミザトウムシN.suzukiiやオオナミザトウムシN.genufusca)のそれと同じである。これより隠岐の2n=22核型は中国地方にみられる3核型(2n=16/18/20)に対して祖先的である可能性が高い。核型の比較から,松江市の2n=20核型の第1染色体は隠岐の2n=22核型の第9および第10染色体の動原体融合で生じていると推定された。
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Research Products
(3 results)