2004 Fiscal Year Annual Research Report
極端な幼形成熟を行うシラスウオ科魚類の多様性と進化
Project/Area Number |
16570082
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
吉野 哲夫 琉球大学, 理学部, 助教授 (50117595)
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Keywords | シラスウオ科 / ハゼ亜目 / 分類 / 再記載 / シンタイプ / 幼形成熟 / 16S rRNA / 分子系統 |
Research Abstract |
琉球列島や小笠原諸島に分布するハゼ亜目シラスウオ科魚類について、新しく購入した実体顕微鏡を使用して詳細な形態的学比較を行った。筋節数や鰭条数などの計数形質に加えて雄の泌尿生殖突起の形態は重要な形質であり、形態レベルでは14種以上の種判別が可能となった。並行してmtDNAの12S rRNA域の塩基配列の一部を予備的に比較した所、分子レベルでは約20種の存在が確認され、本科魚類の隠れた多様性が一層明確になって来た。この結果の一部は2005年5月に台北で開催される国際シンポジュウムであるインド-太平洋魚類会議で報告を行う予定である。 2004年7月にヨーロッパの博物館を訪問し、所蔵されている本科魚類の模式標本(シンタイプ)の再検討を行った。とりわけオーストリアのウィーン国立自然史博物館には2種類のシンタイプがそれぞれ600個体以上と約60個体残されていた。その結果、大部分が雌個体から構成されており、雄個体が極めて少なかったこと、両種のシンタイプにはそれぞれ複数の種が含まれていることなどが明らかになった。今後の分類学的な混乱を避けるためにそれぞれの種に対してレクトタイプの指定を行う必要がある。この結果についても2005年5月に台北で開催される国際シンポジュウムであるインド-太平洋魚類会議で報告を行う予定である。なおシンタイプの個体数が極めて多いことから未観察の標本が一部残されている。そのために2005年度に短期間の再訪問を行う予定である。また両種のシンタイプはともにハワイ島産であり、琉球列島や小笠原諸島で採集されている本科魚類とは共通種が存在しない点も明確になり、各種の分布がかなり狭いことが想定される。
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Research Products
(2 results)