2005 Fiscal Year Annual Research Report
マメ科の種子に特異的にみられる表面模様の組織構造、機能および系統発生の解析
Project/Area Number |
16570084
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
根本 智行 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (50228293)
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Keywords | マメ科 / ジャケツイバラ亜科 / ネムノキ亜科 / 種子 / areole / pleurogram / 解剖学 |
Research Abstract |
マメ科で種子に特異的な表面模様をもつジャケツイバラ亜科とネムノキ亜科の計19属67種の種子を解析し、組織構造とその多様性を明らかにした。得られた知見については、平成17年7月にオーストリアのウイーンで開催された第17回国際植物学会議で発表した。 また、表面模様の機能的意義を明らかにするため、典型的な亀裂型areole模様をもつネムノキ属、非亀裂型areole模様をもつSenna属、および斑点模様をもつChamaecrista属の種子を用いて、浸水実験を行い、吸水と表面模様との関連を調べた。その結果、ネムノキ属では種子浸水後2ヶ月たっても吸水する気配は全くみられなかった。一方、Senna属とChamaecrista属では浸水後間もなく模様の外側の種皮外層に膨潤がみられた。その後、へそ周辺から吸水による種皮全体の膨潤が起こり、それが種子全体に広がっていく様子が観察された。へその部分を水性ボンドで封じて同様の実験を行ったところ、種皮外層のみの膨潤は同様に生じたが、その後の吸水による種皮全体の膨潤は起こらなかった。したがって、種子の表面模様は、いずれも吸水には直接関与しないことが判明した。 種子表面模様の機能と関連する組織化学的な性質を探ったが、亀裂型areole模様では模様に特異的な組織化学的な性質は認められなかった。一方、非亀裂型areole模様をもつ種子では、偏光観察によって模様の内外の細胞でセルロース繊維の配向や層構造に違いがみられたものの組織化学的な特性はいまだ検出できていない。 平成18年3月には、中国科学院植物研究所植物標本館で調査を行い、中国産Chamaecrista属の同定を確定した。また、未検討の属の種子を入手した。このうち、Lysidice属とZenia属は非亀裂型areole模様の系統発生を探る上で重要な試料であることが判明した。
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