2005 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物由来翻訳開始因子のマルチ複合体の立体構造解析
Project/Area Number |
16570089
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
姚 閔 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40311518)
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Keywords | 翻訳 / 翻訳開始反応 / 翻訳開始因子 / eIF / 開始tRNA |
Research Abstract |
生物にとって遺伝子の発現制御は環境適応や発生,分化などあらゆる生物学的過程において最も重要である.真核生物では転写と翻訳が時間・空間的に分離しており,転写調節に加えて,転写後の翻訳段階での調節メカニズムが非常に発達している.その中でも最も重要かつ複雑なステップが翻訳の開始段階であり,30余りの翻訳開始因子とリボソームが協調的に作用することで,飢餓,熱ショック,ウイルス感染等のストレスや,記憶,分化,発生等の生物学的過程に応じて部位・時間特異的に細胞の活動レベルを制御している.翻訳開始段階は大きく分けてeIF1-eIF2-GTP-eIF3-eIF5-Met-tRNA^i multi-factor complex (MFC)の形成,MFCと40Sリボソームの結合(43S複合体),43S複合体とmRNA5'末端の結合(48S複合体),開始コドンのスキャニング,および60Sリボソームの結合という段階を経て伸長段階へと移行する.本研究では,eIF2を中心としたMFCの機能・構造解析を行い,特に因子間の相互作用や様々な状態における構造変化を解明することで,翻訳開始反応・調節機構あるいはより高次のプロセスに対して知見を与えることを目的としている.平成17年度では,昨年度に得られたa/eIFβγとa/eIFβγ-GDP複合体の構造に基づいて,a/eIFβの機能の解析を進めた. a/eIF2γと翻訳伸長因子EF-Tuとの構造・機能的ホモロジーを考慮するとaIF2γのSwitch1モチーフはMet-tRNA_iの結合・解離に重要な役割を果たす可能性が高い.本研究で得られたa/eIFβγ-GDP複合体構造においてβサブユニットはSwitch1モチーフと相互作用しており,その結果Switch1モチーフがGDPから遠く離れた位置にあることが明らかとなったため,この変化の重要性を検証するためにSwitch1モチーフの保存残基の変異体を作成し,Met-tRNA_i結合に及ぼす影響を検証した(論文投稿中).
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