2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16570098
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
伊藤 恭子 (新澤 恭子) 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助手 (70206316)
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Keywords | ミトコンドリア呼吸鎖 / 複合体I / 膜タンパク質複合体 / 結晶化 / 界面活性剤 / 反応機構 |
Research Abstract |
ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iは、呼吸鎖の最上流部に位置し、NADHからユビキノン(Q_<10>)へと電子を伝達するとともに膜を介したプロトン輸送を行う。本酵素は、異なる43種以上のサブユニットからなる分子量100万以上の巨大な膜タンパク質複合体である。本酵素の反応機構を解明するには酵素を単離、結晶化し立体構造を明らかにする必要がある。しかし、このような巨大で複雑な酵素をウシ心筋ミトコンドリアから酵素本来の構造と機能を全く損なわないで精製することは大変困難であるとともに、又、精製された酵素が損傷を受けていないかを判断することもとても困難である。本研究では本酵素の特異的阻害剤であるピエリシジンAによるNADH:Q_1酸化還元活性の滴定実験を行うことにより、ピエリシジンAに対して感受性を保持した活性型酵素の量を求める方法を確立した。この検定法では、これまで見逃されていた不活性型酵素の量を見積もることができる。そこでこの厳しい検定法を用いて本酵素の精製法の改良を行った。本酵素の可溶化にはこれまでデオキシコール酸が適していると報告されていたが、これにドデシルマルトシドを添加することにより酵素標品の活性は2倍以上となった。また、最終精製標品を安定化するために用いる界面活性剤の種類等の検討を行うことにより活性型酵素の割合は20%から70%へと格段に上昇した。活性型酵素は電子顕微鏡で観察するとほぼ90°を保ったL字型をしていた。本酵素に脂質を添加し、透析を行うと面積は非常に狭いが、再現性よく酵素が2次膜に配列している様子が観察された。又、脂質と酵素の割合や透析条件を変化させると酵素が3次元的に配列した電子顕微鏡像も認められた。
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