2004 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞分化制御に関わるNotchシグナル伝達系分子群の溶液構造及び高次構造解析
Project/Area Number |
16570102
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山口 宏 関西学院大学, 理工学部, 助教授 (10252719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 勉 関西学院大学, 理工学部, 教授 (30161532)
佐藤 衛 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 教授 (60170784)
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Keywords | シグナル伝達系 / 結晶化 / 高次構造解析 / Notchシグナル / 発現条件 |
Research Abstract |
Notch情報伝達系は、発生過程の多くのステージにおいて極めて重要な機能を持ち、未分化の神経幹細胞の維持や分化を制御している。Notch分子自身は、分子量約300,000の1回膜貫通型のレセプター分子であり、細胞外、膜貫通および細胞内ドメインより構成される。Notchタンパク質が、隣接する細胞のリガンドタンパク質により活性化されると、その細胞内ドメイン(NICD)が切断され、MCDがシグナル分子として細胞質から核内へ移行し、Suppressor of Hairless(Su(H))、Mastermind(Mam)と複合体を形成し、この複合体が神経分化を制御する遺伝子の転写を開始する。このシグナル伝達・分化制御機構をタンパク質分子レベルで解明するために研究を遂行した。Xenopus由来のNICD、Su(H)、Mamの全長、機能ドメイン単位の発現系の構築、精製、結晶化実験を行った。その結果、NICDとMamの塩基性ドメインの可溶性画分への発現、NICD中の他の蛋白質との結合部位であると考えられているX-ANKドメインの発現精製に成功した。 X-ANKの精製試料を作製し、結晶化条件を検索した結果、ハンギングドロップ蒸気拡散法により、タンパク質濃度10mg/ml、沈殿剤15%PEG2000、添加剤1mM DTT、5mM CaCl_2、緩衝液50mM Tris-HCl(pH7.5)、温度20℃の条件で、一辺約30μmの立方体の微結晶を得ることに成功した。しかし、本結晶は、X線回折実験を行うには小さいため、結晶を大きくするために条件を精密化する必要が残された。 さらに溶液中のX-ANKの構造学的知見を得るために、X線小角散乱法を用いた実験を行い、慣性半径、分子内最大長を算出し、さらにab initio法を用いた方法によりDummy Atom Modelとよばれる分子外形モデルを求めた。その結果、X-ANKの二量体を形成しているR値0.13%のモデルを得る事ができた。分子の形状は、最大長105.5Å、幅が約40Å、突出部分の幅が約53Åの凸型が背中合わせで二量体を形成しており、ショウジョウバエ由来ANKモデルを問題なくフィッティングする事ができた。
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Research Products
(2 results)