2006 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞分化制御に関わるNotchシグナル伝達系分子群の溶液構造及び高次構造解析
Project/Area Number |
16570102
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山口 宏 関西学院大学, 理工学部, 助教授 (10252719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 勉 関西学院大学, 理工学部, 教授 (30161532)
佐藤 衛 横浜市立大学, 大学院国際総合科学研究科, 教授 (60170784)
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Keywords | シグナル伝達系 / 発現条件 / 高次構造解析 / Notchシグナル / 結晶化 |
Research Abstract |
Notch情報伝達系は、発生過程の多くのステージにおいて未分化の神経幹細胞の維持や分化を制御している。Notch分子自身は、分子量約30万の1回膜貫通型のレセプター分子であり、細胞外、膜貫通および細胞内ドメイン(NICD)より構成される。Notchタンパク質が、隣接する細胞のリガンドタンパク質により活性化されるとNICDが切断され、シグナル分子として細胞質から核内へ移行し、Suppressor of Hairless(Su(H))、Mastermind(Mam)と複合体を形成し、この複合体が神経分化を制御する遺伝子の転写を開始する。このシグナル伝達・分化制御機構をタンパク質分子レベルで解明するために研究を遂行した。 NICDに関しては、X-RAM-ANKドメインの溶液状態での解析をさらに詳細に試みた。その結果、X-RAM-ANKは濃縮後に非特異的に凝集し易い事が明らかになり、濃縮時の会合状態を動的光散乱実験により解析した結果、非常に大きな多分散度が得られ、多様な会合状態として溶液中に存在している事が明らかになった。そして、CDスペクトルを用いて精製標品のα-ヘリックス含有量を計算したところ、X-RAM-ANKにおけるRAMドメインは二次構造を取っておらず、非天然構造である事が示唆され、濃縮時の非特異的な凝集は、RAMドメインの非天然構造部位問で相互作用を形成して生じている事が考えられた。そこで、RAMドメインを含まないX-ANKの構造研究を再開した。一昨年リフォールディングによって得ていたX-ANKの結晶は回折を示さなかったので、X-ANKを可溶性として発現させる条件の検索を行った。その結果、GST-tag融合タンパク質としてX-ANKを十分量回収する事ができた。このX-ANKの結晶化条件検索を行った所、リフォールディングで得た試料を用いた時と異なった形状の結晶が得られた。しかし、この結晶は微結晶がいくつも集合しており、構造決定を行う為には結晶化条件を精密化する必要が残された。Mam、Su(H)に関しては、ドメイン毎の発現条件検索を行ったが、発現はするものの可溶性の精製試料を得るには至らなかった。
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Research Products
(5 results)