2004 Fiscal Year Annual Research Report
MMP-23の発現調節機序の解析を基にした顆粒膜細胞死の誘導機構の解明
Project/Area Number |
16570106
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大西 淳之 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40261276)
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Keywords | 顆粒膜細胞 / アポトーシス / マトリックスメタロプロテアーゼ / 排卵 / 卵胞刺激ホルモン / PI3キナーゼ / Akt |
Research Abstract |
ほ乳類の全性周期の間で排卵に至る卵胞の数は僅かで、9割近くの卵胞はその発育・成熟過程で卵胞顆粒膜細胞のアポトーシスにより閉鎖に陥り退縮する。ラットの卵胞形成が始まる生後4日齢のすべての未分化な顆粒膜細胞で卵胞壁破裂に関与するマトリックスメタロブロテアーゼ-23(MMP-23)が高発現しており、その後卵胞刺激ホルモン(FSH)の作用により顆粒膜細胞が排卵に向けて分化成熟する過程でMMP-23の発現が抑制される。この顆粒膜細胞におけるMMP-23の発現抑制には、細胞内で亢進されるサイクリックAMP(cAMP)産生を介して活性化されるAキナーゼとPI3キナーゼ/Aktの両者が関与することをそれぞれのキナーゼに対する特異的な阻害剤を用いて明らかにした。さらに初代培養系ラット顆粒膜細胞に、AキナーゼおよびAktに対するRNAiを導入してそれぞれのキナーゼの発現を抑えたところ、FSHによるMMP-23の転写抑制作用が阻害されることを確認した。これとは逆に排卵できずに閉鎖に陥った顆粒膜細胞では、FSHの作用により一旦発現が抑制されていたMMP-23の発現を顆粒膜細胞の細胞死と共に新たなタンパク合成を伴って誘導されてくることが明らかとなった。このことよりMMP-23の発現が顆粒膜細胞の生存状態に密接に依存して調節されていることが示唆された。顆粒膜細胞が正常に分化する過程と細胞死を起こす過程におけるMMP-23の転写調節機序の違いを明らかにするため、ラットMMP-23の遺伝子を単離した。転写開始点より1.5kbp上流の配列を解読したところ、ほかのMMPファミリーで保存されているTATAボックスやEts配列が存在しなかったが、顆粒膜細胞においてcAMP依存的な転写活性の抑制に関与する領域があることを確認した。
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Research Products
(2 results)