2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼによるヘム分解機構並びに各生物種のヘムオキシゲナーゼの多様性
Project/Area Number |
16570108
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
吉田 匡 山形大学, 医学部, 教授 (10004673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 道比古 山形大学, 医学部, 助教授 (00135344)
張 旭紅 山形大学, 医学部, 助手 (10292442)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / 酸素活性化 / ビリベルジン / CO / 鉄 / 過酸化水素 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)はヘムをαヒドロキシム、ベルドヘムを経てビリベルジン、一酸化炭素、鉄イオンとに分解する酸素添加酵素であり、一つの酵素タンパクの上で三回の連続したモノオキシゲナーゼが起こっている。今迄、ベルドヘムからビリベルジン・鉄錯塩への転換機構の詳細は不明であったので、今回、この解明を行った。先ず、化学的に四種類のベルドヘムを合成し、それらとラッとHO-1との複合体を作成し検討した。(1)四種類のベルドヘムのうちαベルドヘムのみが、酸素と電子の存在下でビリベルジンに転換した。(2)厳密な嫌気的条件下で一当量の酸素を添加すると緩やかな二相性のスペクトル変化が見られた。最初の相ではアイソスベスチックポイントが観察され、この相の試料に電子を加えるとほぼ定量的にビリベルジンに移行した。然し、第二相の試料に電子を加えるとビリベルジンは得られなかった。(3)今迄、この第三の反応は過酸化水素によっては進まないとされて来たが、予想に反し厳密な嫌気的条件下では電子の存在下に定量的にビリベルジンに移行する事が知られた。この反応でも二相性に進むが第一相の中間体物質はビリベルジンに移行可能なのに対し、第二相の物質は不能であった。(4)D140はヘム鉄に結合した酸素の活性化に必須のアミノ酸残基であるが、D140AやD140Fのミュータントではこの第三段階の反応は円滑に進行できなかった。以上の結果と、今まで知られていた事実、つまり、一酸化炭素やシアンが本段階を阻害すると云う結果を合わせ考えると、この第三段階は第一段階と同様の酸素活性化機構で進行する事が明らかになった。
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