2005 Fiscal Year Annual Research Report
高次染色体構造変化の可視化によるゲノムの機能と構築の解析-ES細胞分化過程の検討
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16570111
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
佐藤 憲子 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (70280956)
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Keywords | 高次染色体 / 核構築 / エピゲノム / Oct-3 / 4 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
ES細胞のin vitro分化系は、胚初期発生期に劇的に変化するエピゲノム情報を解析するのによいモデル系である。この系を用いてOct-3/4遺伝子サイレンシング機構について、核内配置制御とエピジェネティック制御の2つの観点で検討した。核内配置については、抑制される遺伝子領域が核内三次元空間においてヘテロクロマチンに近接する構造的な制御を受ける場合が知られている。Oct-3/4領域もこのような制御を受けているかどうかを検討するため、未分化状態(day0)と神経系分化誘導後10日目のβIII-tubulin陽性細胞(day10)を用いて3D-FISHによりOct-3/4領域とヘテロクロマチンとの最短距離を推測し、その変化を検討した。その結果、day0で0.73±0.50μm(n=100),day10で0.71±0.46μm(n=100)であった。一方Oct-3/4遺伝子のプロモーター領域では、神経分化誘導後6日目からシトシンのメチル化が高度に進行することは昨年示した。しかし、このシトシンメチル化の制御機構はまだ明らかでない。分化過程に伴うヒストン修飾変化について検討した結果、転写活性と相関のあるヒストンH3K9,K14のアセチル化やH3K4メチル化の程度はOct-3/4の発現抑制と同時に低下するが、抑制制御に関わるH3K9,H3K27のメチル化の程度には変化がみられなかった。ところが、分化誘導によって発現が一過性に上昇する転写抑制因子GCNFはDNAメチル化酵素Dnmt3と直接相互作用することを発見した。さらに、GCNFとDnmt3の過剰発現がOct-3/4プロモーター領域のDNAメチル化を促進することを見いだした。従って、GCNFが直接DNAメチル化酵素をリクルートしてシトシンメチル化を誘導し、Oct-3/4遺伝子サイレンシングを制御すると考えられた。
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