2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16570120
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Research Institution | FUKUSHIMA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
本間 美和子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (40192538)
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Keywords | CK2 / cell cycle / eIF5 / 翻訳開始因子 / phosphorylation |
Research Abstract |
CK2(カゼインキナーゼ2)は個体の生存と細胞増殖に必須となる酵素の一つで、触媒サブユニットであるalpha(αまたはα')と制御サブユニットbeta(β)がヘテロ4量体を形成することでholoenzymeとして最大活性を示す。本酵素の生理機能の詳細は明らかでなかったが、申請者のこれまでの研究により、家族性大腸腺腫症(FAP)の原因遺伝子で癌抑制遺伝子でもあるAPC遺伝子産物と細胞周期依存的に相互作用することや、CK2活性自体が癌疾患で欠損する「APCタンパクC端領域」によって抑制されることが明らかになった。これらの成果を踏まえて、本研究では細胞周期進行におけるCK2活性変動を解析した。その結果、CK2は、これまで考えられていたような恒常的に活性化された酵素ではなく、細胞周期にともない新たなholoenzymeを形成させ、活性と局在を変動させる酵素であることが明らかになった。同時に、細胞周期特異的な標的分子として、翻訳開始因子のひとつeIF5(eukaryotic translation initiation factor 5)が細胞周期特異的にCK2と相互作用し、CK2によりリン酸化されることを見出した。さらに、eIF5のリン酸化が、eIF5自体の翻訳開始因子としての機能および細胞周期進行に必須であることがわかった。CK2によるeIF5リン酸化部位のアミノ酸を変異させた変異体を用いた研究で、このeIF5のCK2によるリン酸化が翻訳開始・細胞周期進行・細胞増殖に必須であることを明らかにした。これらの成果から、CK2は細胞周期進行の初期段階でeIF5を介して、厳密にコントロールされた細胞周期進行に関与することが示された。さらに、細胞周期の進行に伴いCK2が核内へ移行することを見出したので、今後、核内CK2新規ターゲット分子を明らかにすることともに、細胞周期特異的なCK2複合体構成分子を同定することにより、CK2が厳密な細胞周期の制御、特に核機能に関与するメカニズムを明らかにしていきたい。
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Research Products
(2 results)