2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックスと進化情報の融合によるDNA修復関連タンパク質の機能アノテーション
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16570138
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
由良 敬 独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究副主幹 (50252226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 恒 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (60360418)
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Keywords | DNA修復タンパク質 / ゲノム / データベース / DNAホトリアーゼ / 分子進化 / 分子動力学 / アノテーション |
Research Abstract |
本研究課題では、タンパク質の機能にかかわる動的構造を担うアミノ酸残基をシミュレーションで同定し、その残基の進化的保存性から、共通祖先由来タンパク質の機能類似性を推定することを目的としている。本研究は特にDNA修復関連タンパク質に関して展開することを計画した。平成18年度は、前年度にまでに判明した約230種のDNA修復関連タンパク質を公開可能なデータベースとしてまとめ上げることを行った。体系的にDNA修復関連タンパク質をまとめ上げていった結果、普遍的に存在すると考えられてきたDNA修復関連タンパク質の一部がある生物種には存在しないことがわかった。このことはその生物の生活環境と関係しているようである。データベース作成とその結果わかってきたDNA修復関連タンパク質の生物ごとの保存パターンについては、現在論文執筆中である。さらに名古屋大学大学院理学研究科との共同研究により、DNAホトリアーゼの分子動力学計算からわかる電子移動経路と、DNAホトリアーゼの分子進化におけるアミノ酸残基の保存性とに強い連関があることを見いだした。分子動力学計算の結果、DNAホトリアーゼの電子伝達経路において、ある1残基がかなめになっていることがわかったが、その1残基はDNAホトリアーゼを含むタンパク質ファミリーでは保存されてないことがわかった。その残基の保存性によって、DNAホトリアーゼファミリーを二分すると、このふたつのグループわけは、現在までに実験的に判明しているファミリー内のタンパク質機能部類と1つの例外を除いて完全に一致することがわかった。ひとつだけ存在する分類の不一致は、いくつかの証拠から、実験的な機能同定の間違いであることが示唆され、DNAホトリアーゼファミリーのアノテーションを向上することができた(論文投稿中)。
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