2004 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答における熱ショック転写因子のリン酸化制御
Project/Area Number |
16570142
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
桜井 博 金沢大学, 医学部, 助教授 (00225848)
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Keywords | ストレス応答 / 熱ショック転写因子 / リン酸化 / 酵母菌 |
Research Abstract |
すべての細胞は高温にさらされると、その恒常性を維持するために熱ショック応答を行なう。多くの熱ショックタンパク質(HSP)遺伝子の転写は、そのプロモーター領域にある特異的塩基配列(HSE)に結合する熱ショック転写因子(HSF)により制御されている。本研究では、この過程で引き起こされる遺伝子の特異的な転写調節がどのように支配されているかについて、酵母菌のHsf1をモデルとして以下のことを明らかにした。 1、熱ショック転写をほとんど誘導できない変異hsf1株と野生株の熱ショック転写をDNAマイクロアレイ法により比較した。これより、熱ショック応答においてHsf1は少なくとも酵母ゲノムの約1%に当たる60個の遺伝子の転写を誘導することが明らかになった。ターゲット遺伝子はHspのみならず、タンパク分解、酸化ストレス応答、糖代謝、エネルギー生成、細胞壁形成に関わるさまざまなタンパク質をコードしていた。さらなる解析より、Hsf1が結合する新たなコンセンサスHSE配列を同定した(JBC印刷中)。 2、酵母Hsf1タンパクのCTM領域に変異が生じると、多くのHSP遺伝子の転写誘導は正常であるにも関わらず、酵母菌は高温感受性となる。遺伝学的および生化学的実験より、CTMはHsf1タンパク内の転写抑制領域と相互作用することを明らかにした。さらなる解析より、CTMの機能は酵母属のHSFの間で保存されており、非典型的なHSEを持つHSP遺伝子の転写誘導、および、熱ショックに伴うHsf1のリン酸化に必須であることを示した。したがって、CTMにより制御されるHSE塩基配列(遺伝子)特異的な転写誘導とHsf1のリン酸化には密接な関連があると考えられる(MCB24:3648-3659,2004)。
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Research Products
(3 results)