2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16570146
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
梅津 桂子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (20223612)
|
Keywords | 染色体異常 / ゲノムの再編 / 遺伝的組換え / DNA損傷 / DNA修復 |
Research Abstract |
出芽酵母二倍体細胞におけるヘテロなマーカー遺伝子の喪失(LOH)を指標に、有糸分裂中に生じる多様なゲノム変化(染色体喪失、交叉・転座・欠失等の染色体再編、点突然変異)を分子レベルで解析する系を用いて、内因性のDNA傷害を解消してゲノムを安定に維持する機構について研究を行っている。これ迄に、ゲノムの安定な維持には相同組換えや複製後修復を中心とした修復機構が関与すること、また、この相同組換えによる修復は複数のステップでゲノムの変化を抑える様に制御されることを明らかにしてきた。本研究では制御の中でも、特に相同組換えと複製後修復を使い分ける機構を理解することを目標に、SRS2遺伝子の作用について解析を行ってきた。昨年度のsrs2単独欠損株におけるゲノム変化の解析よりSRS2は相同組換え自体にも関与することが示唆されていたが、本年度はこの点に関して相同組換え遺伝子(RAD51・RAD52)との関係について解析を進めた。rad51欠損にsrs2欠損を加えても、ゲノム変化のパターンはrad51単独欠損の場合と同様であったことから、SRS2はRAD51と同じ経路で作用していると考えられたが、一方、rad52欠損との二重欠損株では染色体喪失が相乗的に増加したことより、rad52欠損下で顕在化する様な新たなSRS2の作用が示唆された。この株については、(1)rad51欠損を加えて三重欠損にしてもゲノム変化に効果は認められないこと、(2)rad18欠損を加えで複製後修復を不活化した場合にはさらに染色体喪失が増加すること、(3)rad52単独欠損の場合と同様のFACSパターンを示すことが分かった。以上の結果より、rad52欠損下で顕在化するSRS2の作用は、複製後修復やチェックポイントに関わるものではなく、相同組換えにおけるRAD51・RAD52とは独立した働きであると考えられる。
|