2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16570153
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 啓一 千葉大学, 理学部, 教授 (70053361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 光二 千葉大学, 理学部, 助手 (50302526)
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Keywords | 車軸藻ミオシン / モータータンパク質 / ATP加水分解活性 / ストップトフロー法 / 原形質流動 |
Research Abstract |
車軸藻は淡水産の藻類で、その中では非常に早い原形質流動が起こっている。その流動は、細胞内に固定されたアクチンケーブル上をミオシンというモータータンパク質が高速で動き回ることにより引き起こされている。このミオシンの運動速度は動物ミオシンより10倍以上高いことが知られている。動かない植物中にあるミオシンのほうが動くことによって世界を支配してきた動物のミオシンより速いというのは非常におもしろいことである。このミオシンの速さの秘密を解明するために、私たちは車軸藻ミオシンをクローニングし、細胞性粘菌あるいは昆虫培養細胞中で発現させ、ストップトフロー法によってATP加水分解活性のキネティックスを詳細に解析した。その結果、以下のことが明らかになった。1)このミオシンのATP加水分解活性は非常に高い。30度において、このミオシンのATP加水分解速度はミオシンの活性部位あたり約500であった。この値は筋肉ミオシンの10倍ほどである。2)アクチンと強く結合して首振り運動を起こす時間が非常に短い。ミオシンはATPを加水分解してADPとリン酸にしたときからアクチンと弱く結合し始める。この後、リン酸を放出するとアクチンとの結合が強くなり、ADPを放出するときに首振り運動しアクチンを動かす。ADP結合状態の時間とADPを放出して首を振った後までの時間をストップトフロー法で計測したところ、両者を併せても0.5ミリ秒以下であった。このことから、車軸藻ミオシンが速く動けるのは、ごく短い時間だけアクチンと相互作用し、そのあと速やかに離れるためであると考えた。
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