2004 Fiscal Year Annual Research Report
核膜形成・崩壊機構-細胞周期に伴う核膜内膜蛋白質とクロマチンの結合の調節-
Project/Area Number |
16570154
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
堀米 恒好 新潟大学, 理学部, 教授 (60053352)
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Keywords | 核膜 / ラミンB受容体 / エメリン / 蛋白質リン酸化酵素1 / 核ダイナミクス / 細胞周期 |
Research Abstract |
1 核膜内膜蛋白質ラミンB受容体(LBR)と細胞周期依存的なツメガエル卵抽出液を用いて、LBRとクロマチンの結合調節機構を調べた。その結果、 (1)分裂期抽出液中のcdc2キナーゼと未知キナーゼによるLBRのリン酸化によつて、LBRとクロマチンの結合が阻害されることが明らかとなった。 (2)また合成期抽出液中のSRキナーゼによってLBRとクロマチンの結合が促進されることが示された。 2 細胞周期依存的なツメガエル卵抽出液を膜成分とサイトソル成分に分け、膜成分のクロマチンへのターゲティングの調節機構を調べた。その結果、 (1)分裂期抽出液から調製した膜成分はクロマチンに結合しなかったが、合成期のサイトソルで処理するとクロマチンに結合するようになった。 (2)この時合成期サイトソル中で働いている成分を酵素阻害剤等で調べたところ、蛋白質脱リン酸化酵素1(PP1)であることが示唆された。 (3)そこでツメガエルのPP1に対する抗体を調製し、これを用いて確かに合成期サイトソル中のPP1が分裂期の膜に働いて膜がクロマチンにターゲットするようになることを確証した。 (4)この膜とクロマチンの結合系にLBRとエメリンの断片を加えたところ、LBRの断片はこの結合を阻害したが、エメリンの断片は同じ濃度でも阻害しなかったことから、膜とクロマチンの結合は主にLBRによっていると考えられた。 3 一部の原発性胆汁性肝硬変患者血清に含まれる97k抗原蛋白質が、核膜形成に関与しているp97蛋白質であると同定した。 これらの結果より、細胞周期のM期における核膜とクロマチンの解離には、cdc2キナーゼと他の未知のキナーゼによるLBRのリン酸化が働いていることが示唆された。また、M期からS期に移行するところでは、PP1による膜蛋白質の脱リン酸化、特にLBRの脱リン酸化が重要であることが示唆された。
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Research Products
(4 results)