2005 Fiscal Year Annual Research Report
核膜形成・崩壊機構-細胞周期に伴う核膜内膜蛋白質とクロマチンの結合の調節-
Project/Area Number |
16570154
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
堀米 恒好 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60053352)
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Keywords | 核膜 / エメリン / 核ダイナミクス / 細胞周期 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
細胞周期に伴う核膜とクロマチンの結合調節の機構を明らかにするため次の二つの実験をおこなった。 1.核膜内膜蛋白質でクロマチンと結合することが知られているエメリンとLAP-2βを大腸菌で発現し、これらをin vitroで細胞周期依存的なアフリカツメガエル卵サイトソルで処理する系を用いて次のような結果を得た。 (1)エメリンは分裂期サイトソル中のキナーゼによってリン酸化され、クロマチンと解離することが示された。 (2)エメリンはクロマチン上のBAFと都合しており、この結合がリン酸化で調節されているということが示された。 (3)LC-MS/MS型質量分析装置と新しく開発したリン酸化ペプチド濃縮カラムを用いた解析で、エメリンは分裂期サイトソルで、49,66,120および175番目のセリンと67番目のスレオニン残基がリン酸化されることが明らかとなった。 (4)エメリンの点突然変異体を用いた解析で、175番目のセリンのリン酸化がエメリンとBAFとの結合を調節していることが示唆された。このセリンはこれまで言われていたBAFとの結合部位以外に存在した。 (5)エメリンとBAFの解離に働く分裂期サイトソル中のキナーゼは、cdc2キナーゼと未知のキナーゼであることが推測された。 (6)LAP-2βの核質側にでている部分をGST融合蛋白質として大腸菌で発現して、エメリンの場合と同様な解析を試みたが、LAP-2βは短い断片を多く含む試料しか得られず、はっきりした結果を得ることができなかった。 2.核膜形成に寄与することが知られているp97蛋白質に対する自己抗体を持つ自己免疫病患者血清が核膜形成反応を阻害するかどうかin vitroの系で調べたところ、阻害することが明らかとなった。自己免疫病の発症機構との関係は今後解析すべき問題である。 これらの結果は原著論文として公表した。
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Research Products
(2 results)