2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16570155
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
古川 和広 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (40229109)
|
Keywords | BAF / アポトーシス / 核構造 |
Research Abstract |
dsDNA、LEMドメインタンパク質、ラミンと相互作用するクロマチンタンパク質、Barrier-to-Autointegration Factor(BAF)の機能を明らかにするため、ショウジョウバエのBAF null変異体を用いて解析を進めている。これまでに変異体が致死となる三齢幼虫後期または前蛹の初期の中枢神経組織細胞の間期核で、クロマチンの異常な凝集と核膜の異常なコンボリューションおよび、異常なDNA複製が観察されたことから、BAFが核の活性調節や核の構造形成に重要な機能を持っていることを示している。今回は、BAF null変異体の中枢神経および成虫原基の組織形成を幼虫初期から詳細に観察し、二齢幼虫の中枢神経組織では神経芽細胞において核膜の異常なコンボリューションが既に生じており、さらに成虫原基組織では組織が発育しておらず、変性が生じていることを見いだした。成虫原基組織に関しては、活性型Driceに対する抗体とTUNEL反応を用いて解析を進め、アポトーシスが高頻度で誘導されていることも検出している。一方、中枢神経組織ではアポトーシスは検出されなかったが、BAFの消失により生じるクロマチンの凝集と核膜のコンボリューションはプレアポトーティックな核の構造変化と類似している。これらのことは、アポトーシス過程の初期に見られる核構造の不可逆的変化にBAFの分解または修飾が関与している可能性を示唆する。アポトーシス誘導因子であるhidを強制的に発現させることができる組換えショウジョウバエを用いて、アポトーシス誘導中に見られる各種核構造タンパク質とBAFの動態を免疫組織学的に比較することにより解析を進めたところ、実際にBAFはアポトーシス誘導後、Bタイプラミンと同じく、アポトーシス初期に免疫像が消失することが観察された。さらにBAFとDNA複合体のみを認識できる特異的な抗体を用いて動態を追跡すると、この抗体を用いた免疫像の消失が、BAFを認識できる抗体の免疫像の消失に先行することが明らかとなった。BAFの消失によりクロマチンの凝集と核膜のコンボリューションが生じることから、BAFのDNA結合能の消失がアポトーシス初期に見られる核構造の変化に直接関与していることを示唆する。
|
Research Products
(2 results)