2004 Fiscal Year Annual Research Report
核構造とプロテインホスファターゼ-1調節蛋白質scapininの結合
Project/Area Number |
16570156
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
相良 淳二 信州大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10225831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 俊一郎 信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60117166)
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Keywords | scapinin / プロテインホスファターゼ-1 / アクチン / 細胞接着 / 核構造 / 転写調節 / 脳 / 葉状仮足 |
Research Abstract |
Scapininは白血病細胞HL-60の核の不溶成分に強く結合する新規のプロテインホスファターゼ-1制御蛋白質として同定した。HL-60細胞ではscapininは増殖状態で発現しているが、レチノイン酸などの処理によって分化(増殖停止)すると発現が抑制される。ヒト正常組織では脳特異的に発現している。Scapinin発現のもうひとつの特徴は、スプライシング変異体が複数存在することと、2つのプロモーター(dual promoter)によって発現調節されている点である。この事実は、ある種の白血病細胞では増殖性または幼若性と関係する一方で、脳特異的な何らかの機能と関係する多機能分子である可能性が考えられる。本研究ではTwo-hybrid法によりscapinin結合蛋白質を同定し、その生理機能を明らかにすることを目的とした。 市販のヒト脳cDNAライブラリーを用いたスクリーニングによって約20種類のポジティブクローンを得られたが、その内の10クローンはβ-アクチンであることが塩基配列決定の結果わかった。さらに、GST-scapinin融合蛋白質によるプルダウン・アッセイ等によってもアクチンとscapininの結合を確認することができた。また、Scapininを接着細胞で発現すると細胞接着を促進するとともに、アクチンの分布に一致して細胞の伸展先端部や葉状仮足に特異的に分布することがわかった。先述したようにscapininは核構造に結合する分子として同定したことを考えると矛盾する結果である。我々はこの結果を、scapininの多機能性の反映、または、何らかの刺激によって細胞質から核へと移行して遺伝子発現調節に関わる可能性、などを予想している。また最近、核内にもアクチンが存在して染色体構造変換に関係することが示されており、核内アクチンとの関係が今後の課題であると考えている。
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Research Products
(4 results)