2005 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子HB-EGFとへパラン硫酸プロテオグリカンの機能的相互作用の解析
Project/Area Number |
16570159
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩本 亮 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (10213323)
|
Keywords | HB-EGF / EGFR / ErbB / HSPG / 増殖抑制 / 心臓弁形成 / 細胞間情報伝達 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
HB-EGFはEGFファミリーに属する増殖因子であり、EGFRと結合し細胞にシグナルを伝達する。HB-EGFの機能的特徴の一つはヘパリン結合性を示すことである。 HB-EGFはヘパラン硫酸糖鎖(HS)との結合によりその増殖因子活性が昂進する。しかし通常組織ではHSは主にコア蛋白と結合したヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)として存在している。そこで、細胞表面のHSPGに結合したHB-EGFのEGFR発現細胞に対する活性を解析したところ、遊離HS添加時とは逆にHSPG結合型HB-EGFではその活性が増殖抑制に転換することを見いだした(昨年度)。本年度、さらにこの現象についてEGFR発現細胞側の機構解析を行ったところ、遊離型HB-EGFによる細胞増殖促進においてはEGFRおよびその下流のMAPKシグナル系の活性化が一過性であるのに対し、HSPG結合型HB-EGFの場合、これらの持続的な活性化が起こり、その結果EGFR発現細胞の細胞周期停止が起こることを明らかにした。 さらに、HB-EGFのHSPG相互作用の生理的意義の解明を目的として、HSとの結合能を欠いた変異HB-EGF(ΔHB)発現ノックインマウスを作製したところ、このマウスはKOマウスと同様に、心臓弁形成過程で間質細胞の過増殖がおこり、心臓弁肥厚を呈することを見いだした(昨年度)。本年度、さらにこの表現型を詳しく解析したところ、このマウス心臓弁では正常にHSPGが発現していたが、間質における分泌型HB-EGF蛋白の局在が減少しており、その結果この変異マウスではHB-EGFが間質内のHSPGと結合できないことで正常な局在ができず、機能的欠失となっていることを明らかにした。 これらの解析結果から、HB-EGFはHSPGと結合することで増殖促進から抑制に活性転換し、このことが生理的(心臓弁形成過程)にも重要であることが示された。
|
Research Products
(5 results)
-
[Journal Article] Cytoplasmic domain phosphorylation of heparin-binding EGF-like growth factor.2006
Author(s)
Wang, X., Mizushima, H., Adachi, S., Ohishi, M., Iwamoto, R., Mekada, E.
-
Journal Title
Cell Structure and Function (In press)
-
-
[Journal Article] Clinical significance of heparin-binding epidermal growth factor-like growth factor in peritoneal fluid of ovarian cancer.2005
Author(s)
Yagi, H., Miyamoto, S., Tanaka, Y., Sonoda, K., Kobayashi, H., Kishikawa, T., Iwamoto, R., Mekada, E., Nakano, H.
-
Journal Title
British Journal of Cancer 92
Pages: 1737-1745
-
-