2005 Fiscal Year Annual Research Report
栄養飢餓シグナル伝達ネットワークに関わる新規因子の探索・解析
Project/Area Number |
16570165
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
鎌田 芳彰 基礎生物学研究所, 分子細胞生物学研究部門, 助手 (20291891)
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Keywords | 栄養飢餓 / オートファジー / TOR / プロテインキナーゼ / 自食作用 |
Research Abstract |
栄養状態の感知とそれに対する適応は,細胞にとって最も重要な環境応答のひとつである.Torタンパク質は細胞内において栄養センサーとして重要な役割を果たしている。多岐にわたるTorシグナル経路がいかにして下流因子に情報を伝えているか、以下の2点に関して明らかとした。 (1)自食作用(オートファジー)は,Tor不活性化を介して、栄養飢餓によって誘導される非選択的細胞内タンパク質分解である.自食作用は飢餓状態における生存,細胞の再構築に必須である.出芽酵母において飢餓シグナルによる自食作用の誘導には,Atg1プロテインキナーゼ複合体が中心的役割を果たしている。申請者は,Atg1活性化因子であるAtg1結合タンパク質Atg17の生化学的解析を行い、Atg1-Atg17結合がTorにより制御を受けていること、Atg1活性化、および自食作用の誘導に必須であることを見いだした。また、新規ATG遺伝子がコードするAtg29タンパク質がAtg17と結合すること、および、Atg29がAtg1の基質であることを発見した。今後はAtg29がAtg1の下流因子である可能性を追求していく予定である。 (2)一方、Tor経路はMAPKカスケードを介してアクチン構築を制御している。申請者は、その経路におけるTorの下流因子としてYpk2を同定した。Torの基質でもあるYpk2プロテインキナーゼはC末の2箇所をTorによって直接リン酸化され、そのリン酸化によって活性化を受けることが解った。さらに、活性化型変異を入れたYpk2-D239AはTorによるリン酸化(=活性化)非依存的に高い活性を持ち、tor2欠損株の致死性をも回復することが解った。このことは、Ypk2が、Tor経路において必須の役割を担っていることを示唆している。
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Research Products
(3 results)