2005 Fiscal Year Annual Research Report
組織特異的発現を示すKruppel型転写因子の胚発生における役割
Project/Area Number |
16570170
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
前野 貢 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (10190315)
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Keywords | アフリカツメガエル / 転写因子 / 神経分化 / 神経冠 / 境界形成 / BMP / Neptune / 形態形成 |
Research Abstract |
本研究では、クルッペル型転写因子をコードするneptuneをアフリカツメガエル胚cDNAライブラリーから分離し、胚発生における機能を解析した。前年度までの研究から、Neptuneは嚢胚期の予定腹側中胚葉において予定後方領域に発現し、FGFシグナルを介して後方軸と尾部の形成に関係していることが明らかにされた(Takeda et al., 2005)。さらに、この因子は神経胚の神経組織周縁部にも強い発現が見られることから、神経および神経冠形成における役割も推測された。本年度の研究では、Neptuneの翻訳開始点付近の配列に対して作成したモルフォリノを使用してのノックダウンや、GRコンストラクトを用いた過剰発現を行い、神経胚期におけるNeptuneの生理的機能を解析した。モルフォリノを予定神経領域に注入した胚では神経組織の分化パターンの顕著な乱れが観察された。モルフォリノを注入した胚における神経組織の領域は拡張していたのに対し、GRコンストラクトを用いて過剰発現させると神経領域の消失が起こった。このことから、神経胚期におけるNeptuneは神経分化の負の調節因子として作用していると考えられた。ノックダウンを行っても神経分化マーカーの発現量増加はみられなかったことから、生体内でNeptuneは神経組織などの分化に直接関与するのではなく、分化後の組織の境界線を確立させるのに必要な因子であることが示唆された。これまで神経組織の分化はBMPシグナルの負の調節により引き起こされることがわかっていたが、神経、非神経領域の境界をどのように作るかは不明であった。本研究で初めて、Neptuneを介した神経、非神経領域の境界をつくるしくみの存在が示された。本研究成果は2005年度の日本動物学会に発表され、現在論文投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)