2004 Fiscal Year Annual Research Report
HMGタンパク質SOX2の細胞分化と形態形成における転写調節ネットワーク
Project/Area Number |
16570173
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蒲池 雄介 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助教授 (90263334)
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Keywords | SOX2 / N-cadherin |
Research Abstract |
SOX2は、HMGドメインをDNA結合モチーフとして持つ転写制御因子であり、特に胚発生の過程で重要な役割を担っている。我々は、これまでにSOX2の直接の制御標的として水晶体においてはδ-クリスタリン、および中枢神経系においてはネスチン遺伝子のエンハンサーを同定した。これらの解析を通して、SOX2は水晶体ではpaired因子Pax6、中枢神経系ではPOU因子Brn1/2という異なる因子をパートナーとし、組織ごとに異なる標的遺伝子の制御をダイナミックにおこなっていることを明らかにした。また、胚発生に必須の細胞接着因子であるN-カドヘリン(N-cad)の発現が、SOX2の制御下にあることが明らかなりつつあることから、SOX2の細胞分化・形態形成における役割を包括的に理解するために、どのような下流標的遺伝子を、どのようなメカニズムで(どのようなパートナー因子とともに)制御しているかを明らかにすることを目的に本研究を実施している。 本年度は、N-cadの発現制御機構の解析を中心に行った。N-cad遺伝子の水晶体および神経系の細胞における特異的な発現制御に関わる4つのエンハンサー(E1〜E4)を同定した。水晶体で強い活性を持つエンハンサーE4に関して詳しい解析を行い、水晶体における活性に必要不可欠な30bpの配列を見出した。この配列には、SOX2結合配列が含まれていたが、変異解析によりSOX2結合配列およびそれに隣接した配列が活性に重要であることが分かった。また、この配列に結合する因子をゲル移動度シフト法で同定することが出来た。神経系で強い活性をもつエンハンサー(E1,E2)についても、その活性に重要な数百塩基対の配列にSOX2結合配列が含まれており、さらにそれらに変異を導入すると活性がなくなることから、SOX2がこれらのエンハンサーの制御にも関与していることが示された。
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Research Products
(3 results)