2004 Fiscal Year Annual Research Report
発生過程において転写活性化因子の消失後も持続する特異的遺伝子転写の分子機構
Project/Area Number |
16570176
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
村上 柳太郎 山口大学, 理学部, 助教授 (40182109)
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Keywords | ショウジョウバエ / 後腸 / byn / tailless / エピジェネティクス / エンハンサー解析 / 器官決定遺伝子 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
1.ショウジョウバエ後腸のマスター遺伝子bynの発現制御機構の解析 Brachyuryオーソログであるbynは,後腸の発生・分化を引き起こすマスター遺伝子である.bynの発現はギャップ遺伝子taillessによって活性化され,GATA因子遺伝子serpentで抑制される,taillessの後腸予定域での発現は発生初期で消えるが,byn発現は後腸の発生・分化を終えた幼虫や成虫の後腸でも発現が持続する.byn遺伝子のエンハンサー活性を示すエンハンサートラップ系統の解析の結果,byn遺伝子は自己活性化能を示さないことが判明し,bynの発現持続はエピジェネティックな制御によるものであると考えられる.tll強制発現を胚全体に対して行ったところbynが初期胚の広い領域で発現誘導されるが,嚢胚形成とともに急速に消失した.これは転写活性化因子の共存下でbyn遺伝子の制御を行う仕組みの存在を示しており,転写活性化とともにエピジェネティックな制御によるものと考えられる.byn遺伝子の発現持続に関わる主な制御領域を含むとゲノム断片をクローニングしているが,従来の方法でのプロモータ解析はトランスジェニック系統の作製に長い期間を要することから,より簡便な手法を検討した.その結果,トランスジェニック系統作製に用いるベクターを受精卵に微量注入し,発生中期以降に固定・染色を行うことで短時間でプロモータ解析の予備データが得られることがわかった.この手法解析を進めている. 2.ショウジョウバエ内胚葉の形質発現を引き起こすdGATAe遺伝子のエピジェネティックな発現制御機構 dGATAeの遺伝子発現はsrpによって引き起こされるが,bynの場合と同じくsrp消失後もdGATAe発現が持続することがわかり,今後当初の研究計画に加えdGATAeの発現維持機構の解析も同時に進める.
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Research Products
(1 results)