2004 Fiscal Year Annual Research Report
FGF10の器官特異的シスエレメントの同定と発生工学用ツールとしての利用
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16570177
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大内 淑代 徳島大学, 工学部, 助教授 (00253229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三戸 太郎 徳島大学, 工学部, 助手 (80322254)
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Keywords | 線維芽細胞増殖因子 / FGF10 / 器官形成 / 発生工学 / シスエレメント / 内耳 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
本年度は、(1)Fgf10ノックアウトマウスの耳の表現型解析とFgf10遺伝子の耳エンハンサーの同定,および(2)ヒトとマウスにおけるFgf10遺伝子ヘテロ変異の解析を行なった。 (1)Fgf10欠失マウスでは、三半規管、前庭、蝸牛の3つの耳の領域分けはほとんど正常であったが、三半規管の発達と感覚上皮(稜、斑)の形成に異常が生じていた。さらに興味深いのは、半規管原基が盤状のままであり管状に形態変化しないことであった。耳胞の背側領域の上皮は,胎生12日頃から互いに近付いて融合板を形成する.融合板上皮細胞はIインターカレートしながらやがて間葉の中に消失し,中空の管状構造物,半規管が形成される。この融合板上皮においてネトリン1の発現がFgf10欠失ホモ胚でも見られたことから、FGF10は融合板形成以降の半規管形態形成過程に関与していると考えられた。次に、Fgf10の内耳エンハンサーの1つ(0.4kb)をFgf10遺伝子上流配列より同定した。この配列には、ホメオボックス遺伝子(Prx, Hox, Nkx),Brn3,GATA結合因子、TCF/LEF-1,SMAD-interacting proteinなどの結合モチーフが数多く見いだされた。従って、FGF10はこれらの多くのトランス因子より入力を受けて複雑な耳の形態形成に関与していることが示唆された。Fgf10のエンハンサー解析により内耳のエンハンサーを同定した。 (2)ヒトFgf10遺伝子異常を初めて見いだした。スウェーデンの家族性涙腺唾液腺形成不全症の2家系において2つの異なったFgf10遺伝子変異を同定した.Fgf10ヘテロノックアウトマウスにも,ヒト遺伝子疾患に対応するように,眼窩外涙腺の欠損,唾液腺の低形成等の異常がみられることを明らかにした.
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Research Products
(4 results)