2005 Fiscal Year Annual Research Report
原腸形成運動を制御するWntシグナルの分子細胞生物学的解析
Project/Area Number |
16570183
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
木下 典行 基礎生物学研究所, 形態形成研究部門, 助教授 (30300940)
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Keywords | アフリカツメガエル / 原腸形成 / アクチン細胞骨格 / Wntシグナル |
Research Abstract |
脊椎動物をはじめとする多くの動物の発生において、内、中、外胚葉からなる3層構造は、体を形作るための基本構造である。原腸形成は、この3胚葉構造を作るために重要な形態形成運動である。この過程では中胚葉として運命づけられた細胞群が外胚葉と内胚葉の間に入り込み移動する。両生類胚、魚類胚などの原腸形成運動においては、背側中胚葉の収束伸長と呼ばれる細胞運動が重要であると考えられている。我々は、アフリカツメガエルを用い、収束伸長運動における細胞のダイナミックな形態変化と運動の制御機構の解明を目指して研究を行った。これまでの研究から、この過程にWntシグナルが重要であることがわかっている。我々は、収束伸長運動の過程で、Wntシグナルの細胞内伝達因子であるDishevelledタンパク質や、その下流で働くRac1、さらにアクチンやアクチン細胞骨格制御因子などが細胞膜上に特異的な局在を示すことを明らかにした。この部分は細胞突起伸長が盛んにおこることが知られており、我々は、Wntシグナルを阻害することで細胞突起伸長が抑制されることを見いだした。これらのことからWntシグナルが細胞突起伸長などアクチン細胞骨格の制御を通じて、収束伸長運動を制御していることがわかった。我々は、さらにアクチン細胞骨格制御因子であるパキシリンが、アフリカツメガエルの収束伸長運動に必須の役割を果たしていることを明らかにした。パキシリンは収束伸長運動を行う細胞の表層で特異的な局在を示し、その局在がWntシグナルによって制御されていることも明らかにした。
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