2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16570188
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三浦 郁夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10173973)
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Keywords | 性決定 / 細胞質因子 / 脊椎動物 / ツチガエル |
Research Abstract |
性決定に関する研究は、これまでヒトを始めとして核ゲノムに存在するマスター遺伝子を中心に進められてきた。しかし、私達は、脊椎動物のツチガエルにおいて、卵の細胞質の中に性の決定に関与する細胞質因子の存在を示唆する実験結果を得た。そこで、本研究ではその実態を明らかにするため、次の3つに焦点を絞って実験を開始した。 1.卵に存在するバクテリア(ボルバキア)の関与 無脊椎動物のハチや蝶ではその卵に宿主の性を変更する寄生細菌ボルバキアの存在が知られている。そこで、ボルバキアゲノムに特異的なプライマーを設計し、PCR法によってツチガエル卵におけるその存在を確かめた。その結果、ボルバキアに特異的なDNA断片は検出されなかった。しかし、原核生物のリボソームRNAに特異的なプライマーでは断片の増幅が確認された。一方で、受精卵をテトラサイクリンで処理し、胚の性比を調べたが性比に変化は見られなかった。次年度は、ミトコンドリアリボソーム遺伝子の関与や、卵母細胞のステージからテトラサイクリン処理を行い、胚の性比を調べる。 2.ミトコンドリアゲノムの解析 ツチガエルのミトコンドリアは他の脊椎動物(16kb)に比べゲノムサイズが倍近く大きいことが知られている(30-35kb)。そこで、ミトコンドリアゲノム内に性の決定に関与する未知の遺伝子を探索するため、2集団の全ゲノムの解析を試みた。現在、ダイレクトシーケンシングによってゲノムを解析中である。 3.母性因子の探索 ZZメスとWWメスを作成し、それぞれの卵のmRNAからサブトラクション法によって、性染色体に由来し、しかも強く発現する母性因子の探索を行った。ZZ卵あるいはWW卵で強く発現するそれぞれ約500のmRNA分子を単離することに成功した。次年度は、これらの発現差の再確認、性連鎖、そして遺伝子の同定を行う。
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