2004 Fiscal Year Annual Research Report
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16570194
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
真鍋 義孝 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (80131887)
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Keywords | 歯の人類学 / 南西諸島 / 沖縄本島 / 歯の非計画的形質 / 集団史 / Sinodont / Sundadont |
Research Abstract |
南西諸島における現代人の歯の形態の地域的変異に関しては、北端の種子島、中央の沖縄本島、および南端に近い石垣島の調査から、南西諸島の集団は全体的に縄文人やアイヌよりも北部九州弥生人や現代日本人に近いことをすでに明らかにしている。このことから、少なくとも現代人に限定した場合には「アイヌ・沖縄同系説」が否定されることが示唆されている。また、種子島弥生時代人の歯の形質は縄文時代人的特徴を示しているが、種子島現代人は縄文的特徴より渡来系的特徴の方を多く持っており、大きな時代的変化がみられた。これらのことから南西諸島の集団を全体的に見た場合、先史時代には縄文時代人的特徴を持っていたが、その後渡来系集団の遺伝的影響を受け、渡来系集団的特徴を強くしていったものと推測される。このことから、縄文時代から弥生時代への移行期に大陸からの渡来系集団の遺伝的影響を強く受けた北部九州や山口などの地域に比べて、南西諸島が渡来系集団の遺伝的影響を受けた時期は、弥生時代よりもかなり後の時代であったことが示唆される。このような仮説のもとで、南西諸島において縄文時代人的特徴から渡来系的特徴に変化した時期を特定するためには、現代人における地域的変異の解明ばかりでなく、古人骨を調査することが不可欠である。本年度は、沖縄本島から出土した中世と近世の人骨について、歯冠と歯根に出現する非計測的形質の頻度、および計測的形質を調査した。南西諸島の各遺跡における人骨は個体数が限られている上に、歯の保存状態が悪く、データ採取が可能な個体数がさらに限られるため、歯冠の崩壊を修復しながら、データ採取に努めた。今年度採取したデータだけでは統計学的に十分な資料数にはまだ達していないので、次年度も引き続き、データの採取を行う予定である。
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