2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼD欠失イネの特性解明とホスホリパーゼD完全欠失系統の選抜
Project/Area Number |
16580006
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
鈴木 保宏 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 作物研究所・稲研究部, 主任研究官 (40370548)
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Keywords | ホスホリパーゼD / イネ / 貯蔵安定性 / 遊離脂肪酸 / 古米 / 脂質 |
Research Abstract |
米の品質劣化を防止し貯蔵性を向上させることは、ポストハーベストにおける最も重要な課題の一つである。米の品質劣化には脂質の分解・酸化が関係し、遊離脂肪酸(FFA)の増加による物理性の悪化や古米臭の発生が指摘されている。FFAは、ホスホリパーゼD(PLD)の作用により細胞内顆粒(スフェロゾーム)が崩壊することにより生成される。そこで本研究は、最近明らかになったPLDの一部が欠失したイネ(ND)においては、米の品質劣化がどの程度防止できるかを明らかにすること、ならびにPLDが完全に欠失したイネ系統を選抜することとを目的とし行う。 1)NDと原品種・日本晴の種子を収穫後、35℃で0〜8週間、貯蔵した。所定の期間貯蔵した試料は-30℃で保存している。今後、玄米を粉砕した後、米脂質をヘキサンにより抽出する。遊離脂肪酸含量はジアゾメタンによるメチル化を行い、ガスクロマトグラフィーにより測定し、その増大、すなわちPLDが一部欠失した系統の貯蔵安定性の解析を行う。 2)NDに対して突然変異原処理(アジ化ナトリウムおよびEMS処理)をしたM1種子を播種・栽培し、1株ずつM2種子を収穫した。本年は、2003年に収穫したM2種子を対象とし、約900株合計1800粒についてPLD完全欠失粒のスクリーニングを行ったところ、2株でPLDが欠失した粒を含んでいた。そこで、これらの株の測定粒数を増やしたところ、T53と名付けた株では10粒中2粒が、P1122と名付けた株では9粒中2粒がそれぞれPLD欠失であった。これらT53およびP1122のM2種子はPLD完全欠失に関してヘテロであるので、PLD完全欠失系統の候補(劣勢ホモ株)を得るために、M2種子を播種した。M3種子が得られしだい、PLDの有無を検定し、PLD-完全欠失株の選抜を試みる。
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Research Products
(4 results)