2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580039
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
竹松 葉子 山口大学, 農学部, 助教授 (30335773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 淳 山口大学, 農学部, 教授 (70242930)
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Keywords | カンモンシロアリ / 侵入害虫 / 生態 / 水運搬能力 / 分布 |
Research Abstract |
本年度は、カンモンシロアリの基礎生態の解明を目的に、本種の摂食量に対して職蟻個体数、温度及び兵蟻割合が与える影響を調べた。また本種は、水分を運搬し、乾燥木材を加害する可能性があることから、本種の水分運搬能力に関する調査を行なった。これら二つの実験をヤマトシロアリとイエシロアリについても行い、比較することで、カンモンシロアリが今後、どのような範囲で分布を拡大することが可能であるか、さらに、どのような点に注意した防除をする必要があるかを考察した。その結果、本種の摂食量は、職蟻個体数の増加に比例し直線的に増加し、30℃恒温条件下で最大となった。また本種は、兵蟻割合が高くなった場合も、摂食量は減少しなかった。これらの結果はイエシロアリと異なりヤマトシロアリと似ていた。特に、野外における一般的な兵蟻割合を超えた異常な状況においてもコロニー活性が減少しないことは注目すべき点である。さらにH管を用いた水分運搬能力に関する実験により、水分が近くにない状況においても水を運ぶことで乾燥した場所へも蟻道を構築し、乾燥した木材を摂食し、生存することが分かった。従って、本種はヤマトシロアリと非常に類似した生態を持ちながらも、水分運搬やコロニー拡大など世界的な大害虫であるイエシロアリと共通する特性を持つことが明らかとなった。つまり本種はヤマトシロアリと同程度の加害量と温度特性を持つことから、今後日本全域に分布拡大する可能性があるが、イエシロアリ同様に蟻道を通して広範囲で加害できると考えられた。次年度は、特にカンモンシロアリの持つ水分運搬能力に注目し、分子レベルでのメカニズムを明らかにする予定である。
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