2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580039
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
竹松 葉子 山口大学, 農学部, 助教授 (30335773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 淳 山口大学, 農学部, 教授 (70242930)
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Keywords | カンモンシロアリ / 侵入害虫 / 生態 / 分布 / 同胞認識 |
Research Abstract |
本年度は、カンモンシロアリの基礎生態の解明を目的に、以下の3つの研究を行なった。 1)同所的分布を行なう競争種ヤマトシロアリとの相互関係 前年までの研究結果よりカンモンシロアリとヤマトシロアリは、温度条件等の生態的特性が類似しているにもかかわらず分布パターンが異なることが分かっている。そこで、両種の分布パターンの相違を2種の同巣認識能力として、栄養交換と攻撃行動という観点から調べた。その結果、カンモンシロアリもヤマトシロアリも、異種に対しては互いに強い攻撃行動を示し、栄養交換も行なわなかった。しかし、同種異コロニーに対しては、ヤマトシロアリは攻撃行動を示さず栄養交換も行なったが、カンモンシロアリは栄養交換を行なわず強い攻撃行動を示した。従ってヤマトシロアリはコロニー融合をするが、カンモンシロアリはコロニー融合を行なわないと考えられる。これらの同巣認識行動の相違が、分布域の違いの要因になっていると考えられる。 2)野外における加害生態 野外におけるカンモンシロアリの群飛生態の調査をおこなった。その結果、同所的分布種のヤマトシロアリは5月末に群飛を行なうのに対してカンモンシロアリの群飛は3月末〜4月初であることが確認された。さらに、シロアリでは珍しいケヤキやツツジといった生木からの群飛例が多く観察され、カンモンシロアリによる加害問題における重要な発見である。 3)水運搬能力の生理学的解明 シロアリの水利用能力を調べるため、アクアポリン(AQP)タンパク及びその遺伝子の決定を試みた。まずAQPタンパクの存在をSDS-PAGEにより推測した。その結果、既知のAQPタンパクと同程度である25kDa付近でのタンパク質の存在が確認できた。さらにRT-PCRによるAQP遺伝子のクローニングを行うために、イエシロアリ職蟻の消化管からRNA抽出を行った。その結果、職蟻100頭分の消化管よりcDNA合成に十分な濃度である0.712μg/μlのRNAを得ることが出来た。
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Research Products
(3 results)