2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580039
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
竹松 葉子 山口大学, 農学部, 助教授 (30335773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 淳 山口大学, 農学部, 教授 (70242930)
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Keywords | カンモンシロアリ / 侵入害虫 / 生態 / 分布 / 同胞認識 / アクアポリン / ヤマトシロアリ |
Research Abstract |
本年度は、カンモンシロアリの基礎生態の解明を目的に、以下の3つの研究を行なった。 1)同所的分布種ヤマトシロアリとの相互関係 前年までの研究結果で、同種異コロニーに対しては、ヤマトシロアリは攻撃行動を示さず栄養交換も行なったが、カンモンシロアリは栄養交換を行なわず強い攻撃行動を示したことが分かったが、この結果を同巣認識物質体表炭化水素組成と比較すると、ヤマトシロアリの炭化水素はコロニー内及び種内で非常にばらつきが大きいが、カンモンシロアリでは、非常に類似していることがわかった。同巣認識物質のまとまりが、同巣認識機構に関わっている可能性が示唆された。 2)家屋における加害生態 家屋におけるカンモンシロアリの被害調査をおこなった。その結果、同属であるヤマトシロアリでは観察されず、被害の大きなイエシロアリで頻繁に観察される幅広い蟻道が多く観察された。このことは、カンモンシロアリがイエシロアリと同様に広範囲な移動を行い、また水を運ぶ可能性を示唆し、従来のヤマトシロアリで行われていた床下のみの薬剤散布だけでは防除ができないことがわかり、カンモンシロアリによる加害問題における重要な発見である。 3)水運搬能力の生理学的解明 シロアリの水利用能力を調べるため、水透過タンパクアクアポリン(AQP)遺伝子の配列決定とその発現部位の特定を行った。その結果、既知のAQPタンパクと同程度である25kDa付近でのタンパク質の存在が確認できた。さらにRT-PCRによるAQP遺伝子のクローニングを行うために、イエシロアリ職蟻の消化管からRNA抽出を行った。その結果、イエシロアリの消化管にはC末端コード領域以降の塩基配列が異なるAQP mRNAが少なくとも2種類存在し、配列既知の昆虫AQPと57-63%と高い相同性を有することが推察された。今後、この発現部位の特定を行う予定である。
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Research Products
(3 results)