2004 Fiscal Year Annual Research Report
作物の難溶性成分溶解機構解明と輪作・混作への活用による環境保全型作付け体系の確立
Project/Area Number |
16580045
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
松本 真悟 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (00346371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 尚夫 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (20304256)
大西 政夫 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (80185339)
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Keywords | 有機態窒素 / クエン酸 / シュウ酸 / 細胞壁 / 輪作 / 混作 / ニンジン / コマツナ |
Research Abstract |
土壌に施用されたあらゆる種類の有機物は分子量8000程度の有機態窒素(PEON)へと変換され,土壌コロイドの鉄やアルミニウムと吸着し,比較的溶けにくい形態で存在している。有機物施用の効果の高い作物はこのPEONを土壌から遊離する機構を持つと考えられる。そこで,これらの作物の有機態窒素吸収利用機構を解明し,輪作・混作への応用による施肥量の削減および有機物利用促進への可能性を検討する. アブラナ科作物およびアカザ科作物では培養液の窒素濃度が低いほど,クエン酸およびシュウ酸の分泌量が増加した。これらの有機酸により土壌の有機態窒素が遊離することを確認した。また,これまでにアブラナ科およびアカザ科作物の根圏土壌により多くの無機態窒素が残存していることを認めており,これは有機酸によって土壌の有機態窒素が溶出し,その後の無機化が促進されることによると考えられる. 根から有機酸の分泌が認められないニンジンに関して,根表面にある鉄との結合能を予見した。その結果,あらゆる植物種には多少に関わらず鉄と結合する能力があり,この能力はCECとの相関は少なかった。根と結合した鉄はクエン酸濃度の上昇と共に鉄が溶解することが明らかになった。ニンジンとキウリはCECと鉄結合量が同程度であるにも関わらず,クエン酸で溶解する鉄量が異なることからも,鉄の結合部位はCECの活性部位と異なる。 有機物区では,栽植本数が2〜4本の場合に混作区のトウモロコシが単作区のトウモロコシよりも高い値を示した.混作区のコマツナの窒素吸収量は単作区のトウモロコシよりも高い値を示しており,コマツナの窒素吸収量が低いために同一ポットのトウモロコシの窒素吸収量が増加したのではなく,混作されたコマツナによる有機態窒素の可溶化および無機化の促進によりトウモロコシの窒素吸収量が増加したのではないかと推察された.
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