2005 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成シグナル伝達経路への異常シグナル流入が生じるkexin破壊株の解析
Project/Area Number |
16580051
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山形 洋平 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (40230338)
|
Keywords | kexB / kexin / プロセッシングプロテアーゼ / 麹菌 / 細胞壁 / α-グルカン / キチン |
Research Abstract |
昨年度までに、Aspergillus oryzae kexB欠損株においてmpkAの転写量が増加しており、さらにそのコードされているタンパク質が野生株に比べて、リン酸化レベルが上昇していることを明らかにした。その結果、cell integritiy経路で異常なシグナル伝達が伝達され続けていることが示唆された。また、細胞壁の糖組成にも大きな変化を生じていることが明らかとなった。そこで、本年は、kexB破壊株においてこの各種の細胞壁糖鎖の生合成に関与するどのような酵素がkexin欠損の影響を受けているのかを明らかにすることとした。 野生株と細胞壁を熱水アルカリ抽出し、各画分について検討した.その結果、アルカリ可溶画分にもっとも顕著な差が見られた。この画分について、解析を行ったところ、α-グルカンであることが示された。α-グルカン合成酵素は、まだその遺伝子の同定もされておらず、活性測定法も分かっていないが、A.fumigatusにおいてその遺伝子を欠損させるとα-グルカンの合成量が現象するとされている遺伝子から推定されるアミノ酸配列のアミノ末端側にkexinに認識されると思われるKRサイトが見いだされ、この切断が生じないために、α-グルカンが減少しているのではないかと推定された。一方、アルカリ抽出後の沈殿画分ではキチン合成量の増加が観察された。DNAマイクロアレイ解析やノザンブロット解析でキチン合成酵素の転写量が上昇していることが明らかとなった。キチン合成活性を測定すると、キチン合成酵素活性が野生株の2倍程度に上昇していることが確認できた。これらの結果から、kexin欠損株は、α-グルカン合成を行うことができず、細胞壁に何らかの障害が現れたと感知し、その結果、cell integrity pathwayを活性化させキチン合成活性を上昇させ、細胞壁の弱体化しているのではないかと推測された。
|