2005 Fiscal Year Annual Research Report
微生物ホルモンおよびリン酸飢餓による黄色色素生合成遺伝子群の発現制御機構の解明
Project/Area Number |
16580053
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 康夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90292789)
|
Keywords | 放線菌 / 遺伝子発現制御 / 二次代謝 / A-ファクター / リン酸飢餓 / Streptomyces griseus / グリキサゾン / 微生物ホルモン |
Research Abstract |
放線菌Streptomyces griseusの二次代謝・形態分化は微生物ホルモンA-ファクターによって誘導される。黄色色素(グリキサゾン)はA-ファクターによって生産誘導される二次代謝産物の一つであるが、その生産は低リン酸培地でのみ観察される。A-ファクターおよびリン酸飢餓シグナルがいかにしてグリキサゾン生合成遺伝子群の発現を誘導するかを分子レベルで明らかにすることが本研究の目的である。これまでの研究により、A-ファクターおよびリン酸飢餓シグナルはグリキサゾン生合成遺伝子群中の制御遺伝子griRの転写活性化を引き起こすこと、およびGriRは他のグリキサゾン生合成遺伝子群の転写を活性化することを明らかにしている。本年度はグリキサゾン非生産変異株(M31株)の変異遺伝子であるgriZについて解析を進めた。グリキサゾン生合成遺伝子群とはかけ離れた遺伝子座に存在するgriZは、TetR型のDNA結合ドメインを有するタンパク質をコードしており、転写因子であると考えられる。griZ破壊株ではgriRの転写活性化がおこらず、グリキサゾンは生産されなかった。さらに、griZ破壊株においてgriRを強制発現させたところ、グリキサゾンが生産された。これらの結果より、GriZはgriRの転写活性化を通してグリキサゾン生合成に関与していることが明らかになった。大腸菌で生産させたGriZを用いた解析により、GriZはgriR上流領域へは結合しないことが示されたため、GriZは間接的にgriRの転写を活性化していると考えられる。一方、GriZはgirZプロモーター付近に結合し、自身の遺伝子の転写を抑制していることが示された。GriZの制御下にあり、griRの転写活性化に関与する遺伝子を取得するとともに、A-ファクターおよびリン酸飢餓シグナルとGriZとの関連を明らかにすることが今後の課題である。
|